実践!相続税対策
平成30年分の相続税税務調査の状況【実践!相続税対策】第422号
2020.01.22
おはようございます。税理士の青木智美です。
昨年12月19日に国税庁より、平成30年分の相続税の申告事績の概要が公表されました。
申告が無事に終わっても、その後、税務調査があるのではないか、また、実際に税務調査があった場合、追加で税金を払わないといけなくなるのではないか、と心配になることがあるかもしれません。
今回は、実際にどのくらい調査が行われ、どのくらいの否認事案が発生しているのかを、お伝えいたします。
まず、相続税の申告状況から。
平成30年に被相続人数(死亡者数)は、約136万人。このうち、申告書が提出があった件数は、約12万件。
つまり課税された方の割合は8.5%(平成29年8.3%)となり、過去最高になりました。
なお、全体の相続税は2兆1,087億円となっており、課税価格も16兆円を超えています。
次に調査件数ですが、12,463件となっています。
つまり、申告書が提出があった件数の約10%につき、税務調査が入っていることになります。
さらに驚くべきことは、税務調査で申告漏れ等の指摘があった件数が、10,684件もあることです。
つまり、約85%が修正申告等をしていることになります。
税務調査が入ることは、何かしらの追徴課税を覚悟する必要があるということでしょうか。なお、追徴税額は708億円となっております。
また、特に問題とされる重加算税賦課件数は、1,762件となっています。
これは、意図的に相続人の方が、相続税を逃れるため資産を隠す等をした場合の件数となります。
最後に、無申告だった相続に関する調査件数は、1,380件となっており、追徴税額で101億円となっております。
このように、相続税の調査の場合、調査の連絡がきた時点で、税務署職員により、こちらに不利な情報がすでに収集されているということなのかもしれません。
このため実際の相続があったときは、財産が漏れないよう慎重に調査をして、延滞税、加算税を払うことがないようにしておくことが大事ですね。
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