実践!相続税対策
「遺贈する」と「相続させる」の違い【実践!相続税対策】第430号
2020.03.18
皆様、おはようございます。税理士の北岡修一です。
民法改正により、自筆証書遺言が作りやすくなったことは、このメルマガの中でも、何回かお話ししました。
今までは、全部自筆で書かなければいけなかったものが、財産目録については、パソコン等で作成し、そこに署名押印すればよい、ことになりました。
さらに、今年の7月からは、法務局(登記所)において自筆証書遺言を保管してくれる制度が、施行されます。
これによれば、保管手続きの中で、遺言書の形式的な要件の審査や、本人確認手続きを行ってくれますので、相続がおこった際の、裁判所による検認手続きが不要になります。
このように、自筆証書遺言が作りやすくなり、費用も公正証書遺言を作成するより、ずっと安価でできます。
遺言は、何度も作り直すことができますので、作っておいた方がよい、と思われる場合は、まずは財産目録の作成を、パソコンでやってみてはいかがでしょうか?
さて、遺言書を書く時に「○○を長男Aに遺贈する」あるいは、「○○を長男Aに相続させる」と、書くことが多いです。
遺贈するも、相続させるも同じことのように思われますが、その意味合いと具体的な手続きは、異なってきますので、注意が必要です。
相続させる、というのは、遺産分割の方法を遺言しています。
したがって、相続が始まると同時に、その財産は長男Aに遺産分割されたことになり、所有権が移転します。
ただし、相続人でない人が相続することはできませんので、相続させると書けるのは、法定相続人の場合だけです。
遺贈の場合は、被相続人に代わって遺贈する義務を相続人全員が引き継ぐことになります。
したがって、不動産登記などの場合には、受遺者と相続人全員で協力して登記申請をしなければなりません。
もし、相続人の中に、遺言に対して不満を持つ人がいれば、登記に協力してくれないかも知れません。
この場合には、遺言の中で、遺言執行者を指定しておいた方がよいでしょう。遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者が、登記手続きをすることができます。
なお、相続する、と書いた場合には、上記のように、相続開始と同時に財産が、受遺者に移転しますので、その方単独で、不動産の登記をすることができます。
以上のように、遺贈すると、相続するでは、その意味合いや、手続きが違ってきますので、法定相続人に対しては、相続する、という語句を使うことをお勧めします。
編集後記
確定申告はもう終わりましたでしょうか?
期限が1か月伸びたから、のんびりしている方もいるかも知れませんね。
ところで、振替納税の方も引落し日が、後ろにずれています。
振替納税は、自動引き落としで納税する方法ですが、変更前は、4月21日に引き落とされる予定でしたが、これが5月15日に変更になっています。
納税額が多い場合など、資金繰りが少し楽になったかも知れませんね。
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