実践!相続税対策
建て替えるかどうか?【実践!相続税対策】第456号
2020.09.16
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
自宅やアパートなどを所有している場合、相当古くなってきて、使い勝手も悪いため、建て替えるかどうか、悩むことがあるかと思います。
親が高齢の場合などは、特にそうですね。
建て替えたことによって、相続税はどうなるのか、心配もあるでしょう。
特に自宅やアパートの敷地は、小規模宅地の特例などにより、評価が減額されますので、それが使えるかどうかは、相続税に大きく影響します。
万が一、建て替え中に親が亡くなってしまった場合に、相続税はどうなるのか、ということです。
まず、自宅の敷地の場合は、親と同居していれば、その敷地は330m2まで、80%評価減されます。
建て替え中の場合は、住んでいませんので、果たしてこの評価減は使えるのか?と、心配になります。
この場合は、次の要件を満たしていれば、80%評価減を、使うことができます。
1.建築中の建物は、被相続人(親)または、その親族が所有するもので、かつ、完成後は被相続人や同居親族の居住の用に供されると、認められるものであること
2.原則として、相続税の申告期限までに、その建築中の建物を、次の者の居住の用に供されていること。
・その建物またはその敷地を取得した親族
・被相続人と生計をーにしてした親族
被相続人と同居していた親族が、その自宅を相続して、居住していれば、問題なく評価減ができます。
次にアパートの場合です。
アパートの敷地の評価は、貸家建付地として、借地権割合にもよりますが、約20%評価減することができます。
アパートの建て替え中に、相続が発生した場合は、相続開始時において賃貸をしていませんので、原則として貸家建付地評価を行うことはできません。
ただし、次のような場合は、貸家建付地評価を行うことが可能です。
1.建て替え前の賃借人が、建て替え後の建物に入居することになっている
2.したがって、立退料などの支払いはしていない
3.敷金等の支払いがあり、賃貸借契約が成立済みである
建て替えには、かなり時間がかかりますので、通常のアパートの場合などは、難しそうです。
貸店舗のようなケースであれば、あるかも知れません。
次に、小規模宅地の評価減の適用についてです。
アパートなどの貸付事業用の土地については、200m2まで50%評価減の特例を適用できる可能性があります。
こちらの場合は、貸家建付地評価と違って、次のような要件を満たせば、評価減を受けることができます。
1.以前から賃貸事業をやっていた建物を建て替える場合
2.建築中の建物は、被相続人あるいはその親族の所有にかかるものであること
3.相続した親族等が、相続税の申告期限まで賃貸事業を継続していること
この要件であれば、適用を受けられる可能性が高いですね。
最後に、建築中の建物の評価についてです。
建物の評価は、その建物に関して相続発生時までに掛かった費用原価の70%で評価することになっています。
費用原価とは、建築会社などに支払った額ではなく、相続発生時までに、建物に投下された建築費用の額を、相続時の価額に引き直した額、とされています。
詳しい計算方法は割愛させていただきますが、かかった費用の概ね7割と、考えていただければと思います。
なお、アパートの建物の場合は、貸家評価として30%評価減することができますが、建築中の場合には、まだ賃貸していませんので、この評価減をすることはできません。
編集後記
イベントやGOTOキャンペーンなど、徐々に緩和されてくるようで、少しずつでも、その方向に向かって欲しいなと思います。
顧問先の会社にお伺いしても、経済的な影響を大きく受けてしまったところが多いですね。周りが皆そうだから、また、給付金や借入がしやすいことで、資金的には何とかなっていて、意外と深刻ではないのですが、この状況に慣れてしまったような気もしますので、それはちょっと恐ろしいことです。
借りたものは、後で返さなければいけないので、これからが本当に大変なのではと思いますね...。
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