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実践!相続税対策

不動産譲渡引渡し前に死亡した場合【実践!相続税対策】第471号

不動産譲渡引渡し前に死亡した場合【実践!相続税対策】第471号

2020.12.30

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

いよいよ今年も後2日となりましたね。
今年最後の相続メルマガを、お届けします。

不動産の売買契約をしたのだけれども、引渡しが完了する前に、譲渡者が亡くなってしまった場合、相続税や譲渡所得税はどうなるのでしょうか?

まず、相続税ですが、亡くなる前に売買契約が成立しており、譲渡金額が確定しています。

当然、手付金なども受領しているはずです。

したがって、この場合は、通常の路線価評価などではなく、売買金額により相続財産を計算することになります。

たとえば、土地を5,000万円で売却して、1,000万円の手付金をもらっていた場合は、1,000万円は、既に預金に入金されていて、当然、それが相続財産になります。

土地の評価に関しては、上記のとおり通常の路線価ではなく、残代金の請求権としての額4,000万円を、相続財産に計上することになります。

では、所得税はどうなるでしょうか?

特に引渡しが、今の時期のように、年をまたいで、翌年になる場合、いつ申告をするのでしょうか?

譲渡所得をいつ申告するかは、売買契約の時か、その財産を引渡した時の、いずれかを選択することができます。

したがって、被相続人が契約した時か、相続人がその土地を相続して引渡した時か、いずれかを選ぶことができます。

いずれかを選ぶかによって、相続税および所得税が違ってきますので、このような場合には、試算をしてみる必要があります。

まず、所得税についてですが、これは被相続人が申告しても、相続人が申告しても、基本的には変わりはありません。

ただし、相続人が申告する場合は、相続した土地を3年10か月以内に売却することになるので、その土地にかかった相続税を、取得費に加算することができます。

取得費に加算するということは、その分、譲渡益が少なくなり、譲渡所得税が少なくなります。

これを取得費加算の特例といいます。

被相続人の所得として申告する場合(相続人が準確定申告を行う)は、取得費加算はありませんが、住民税がかからなくなります。

というのも、住民税は翌年1月1日を課税時期としてかかるため、亡くなった年の翌年の住民税はかからないことになるからです。

相続人の譲渡所得として申告する場合は、当然、住民税はかかります。

住民税は、長期の譲渡所得の場合、税率20%の内の5%です。住民税がかかるか、かからないかは結構大きいかも知れません。

また、相続税においては、被相続人の譲渡所得として所得税を申告する場合は、譲渡所得税を債務として控除することができます。

被相続人が払うべき譲渡所得税を、相続人が相続して払うことになるので、債務になるということです。

相続人の譲渡所得として申告する場合は、このような債務控除はありません。

以上のように、譲渡所得をいつ認識するかによって、税金計算上、様々な違いが出てきます。

契約時に譲渡を認識して、被相続人の譲渡所得とした方が、債務控除はできるし、住民税はかからないため、有利になる場合が多いかも知れません。

ただ、他の要素で変わることもありますので、いずれにせよ、試算してみて有利な方を選ぶのが良いですね。

編集後記

今年も最後までメルマガをお読みいただき、ありがとうございます。
今年は、コロナという前代未聞の事態が発生し、1年間翻弄されてきて、大変な1年だったですね。

来年は是非、これを克服して、また平穏な日常が戻ってくることを期待したいですね。
来年が皆様にとって、良い年となりますよう、心から祈念いたします。

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