実践!相続税対策
自宅が区分所有の場合【実践!相続税対策】第516号
2021.11.10
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
先日、相続不動産相談会に、相談員として行ってきました。
コロナ禍のときに比べると、非常に多くの方が相談にいらしていいましたね。
その中で、自宅が区分所有になっている方の相談が、2件ありました。
自宅が区分所有になっていると、相続する際に小規模宅地等の特例の適用が、制限されてしまいます。
自宅の小規模宅地特例は、その敷地が330mMsuo>2まで80%評価減される、というものです。
相続税の計算において、かなり大きな影響がある特例ですので、この特例は是非、フルに使いたいものです。
区分所有になっているということは、建物が2つあることになります。1つ1つの区分所有部分が1つの建物になるからです。
小規模宅地特例は、被相続人の居住用に利用されている1つの建物の敷地にしか、適用されません。
お子さんやお孫さんが資金を出して増築し、同居するというケースはよくあります。
見た目上は同居になっていても、増築した部分はお子さんやお孫さんの名義で、母屋部分とは区分登記になっていれば、それは別な建物ということになります。
したがって、相続税の計算においては同居とならず、増築部分の敷地は、小規模宅地特例は使うことができなくなります。
今回相談があった1件は、敷地の一部分に小規模宅地特例が使えなくても、相続財産が基礎控除額に満たなかったので、相続税は発生せず、このままでいいという話になりました。
ただ、もう1件の相談は、小規模宅地特例が使えないと相続税がかなり発生してしまう状況でした。
簡単に説明すると、次のような感じです。
お父様が土地を所有しており、そこに2階建ての二世帯住宅が建っています。
1階はお父様が1人で住んでおり(お母様は既に他界)、
2階は長男家族が住んでいます。
1階の建物はお父様の所有、2階部分は長男の所有で、区分所有登記となっている状況です。
お父様が亡くなった場合、相続税の計算においてこの土地すべてについては、小規模宅地特例を使うことができません。
1階部分はお父様の居住用ですが、同居している人がいません。2階に長男家族は住んでいますが、区分所有建物のため、1つの建物に同居しているとはみなされないからです。
2階については、お父様が住んでいる建物とは別な建物ですので、お父様の居住用建物にはなりません。
お父様と長男さんが同一生計と言えるのであれば、一部小規模宅地特例が使うことはできますが、それぞれに収入がある場合などは、難しくなってきます。
このような場合には、建物を共有登記に直す方法がありますが、かなり手間がかかってきます。
これについては、バックナンバー2017/4/19(第278号)に、書いていますので、よろしければご参照ください。
二世帯住宅を建てたり、増築をするときなどには、是非注意していただきたいところです。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
相続や空き家、不動産の相談会に行くと、様々な想定もしないようなご相談があり、都度考えさせられます。
机上の勉強も大事ですが、このような相談を受けることが、私どもも、様々な知識を得ることにつながっていきますね。
次回は、11/27(土)東京都空き家フォーラムin文京で相談を受けていますので、ご相談ある方は是非、いらしてください。下記サイトに案内があります。
https://www.nexteyes.co.jp/event/202111bunkyo/
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