実践!相続税対策
相続放棄をした人がいる場合【実践!相続税対策】第522号
2021.12.22
おはようございます。税理士の青木智美です。
今回は、相続放棄をした人がいる場合の相続税への影響を確認したいと思います。
まず、相続放棄とは、被相続人の資産負債を一切相続しないことです。
また、正式に相続放棄をする場合には、家庭裁判所に相続の開始を知った日から、3カ月以内に申述をする必要があります。
多くの場合は、被相続人が多額の借金をしている場合で、資産を負債が上回るようなときに、相続人が相続放棄をすることになります。
他の兄弟に財産を承継してほしい、両親との仲が悪く両親の財産は一切いらないと、他の相続人に口頭で言っていたとしても、これは、正式な相続放棄としての効力は生じません。
相続税では、口頭での相続人間での確認の場合のみならず、実際に家庭裁判所に届け出た場合でも、法定相続人に関する計算については一切考慮しません。
これは、そもそも恣意的な節税を回避するためです。
といいますのも、法定相続人は、増えれば増えるほど、相続税を減らすことができます。
法定相続人には、基礎控除が1人につき600万円認められていたり、法定相続人の頭数で財産を分けたうえで、相続税を計算することから、放棄をすることにより、恣意的に法定相続人を増やすことができると課税の公平が保持されなくなります。
どのような場合に法定相続人が増え、相続税が安くなってしまうのでしょうか。
たとえば、被相続人には子が1人、被相続人の両親は既に死亡しており、兄弟が5人いたとします。
このような状況で、子が相続放棄をした場合です。
もし、相続税の計算において放棄が認められたら、兄弟が法定相続人となり、5名を基礎として相続税が計算され、相続税が大幅に減少します。
したがって、相続税の計算においては、放棄はなかったものとして法定相続人の数が計算されます。
また、相続を放棄した場合には、債務控除が利用できない点にも、注意が必要です。
《担当:税理士 青木 智美》
編集後記
気が付いたら年末でした。
10月を迎えたばかりと思えば、すでに年末。
『師走』とは本当に、素晴らしい表現と毎年思います。
12月は特にどの会社も家庭でも忙しいのではないかと思います。
忙しいとより体調を崩しやすいかと思いますので、ご自愛いただければと思います。
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