実践!相続税対策
事業用不動産の小規模宅地特例を活用する【実践!相続税対策】第525号
2022.01.19
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
それなりに広い土地を持っている場合、事業用不動産として活用することができれば、相続税の大きな節税対策になります。
それは、特定事業用宅地の小規模宅地特例を使える可能性があるからです。
小規模宅地特例で知られているのは、自宅の敷地である特定居住用宅地と、アパートやマンションなどの敷地である貸付事業用宅地かと思います。
特定居住用宅地の小規模宅地特例は、330m2まで80%評価減、貸付事業用宅地は、200m2まで50%評価減を行うことができます。
土地はそれなりの評価額になりますので、これだけ評価減ができると、相続税に与える影響は大きいですね。
ところが、特定事業用宅地の評価減は、もっと大きく、400m2まで80%評価減を行うことができます。
しかも、特定居住用の330m2とは別枠で、400m2まで評価減できるので、合計で730m2まで80%評価減ができるということになります。
これをフルに使えたら、相当の額の相続税が減ることになります。
ただし、この場合には、貸付事業用宅地の評価減は適用できないことになります。
では、どのような場合に、特定事業用宅地の評価減が使えるのでしょうか?
これは、次の2通りがあります。
1.被相続人が事業を行っていたものを引き継ぐ場合
2.被相続人と生計を一にしていた親族が行っていた事業を継続する場合
1は、たとえば父親がやっていたお店を、息子が引き継ぐような場合です。
2は、たとえば父親と同居をしている息子が、父親の所有する不動産を使ってお店をやっており、相続後も継続していくような場合です。
お店でなくても、事務所であったり、工場や倉庫であったり、賃貸業以外の事業で使っていれば対象になります。
1の場合は、その宅地を相続した者が、父親の事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること。
かつ、その宅地を相続税の申告期限まで有していることが条件です。
2の場合は、その宅地を相続した者が、相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地の上で事業を営んでいること。
かつ、その宅地を相続税の申告期限まで有していることが条件です。
1の場合は、父親が事業をしていた場合に、事業承継をするということですね。
これは当然、父親が事業をしていなければ対象になりません。
ところが2の場合は、生計を一にする親族が事業を行っている場合です。
生計一とは、最もわかりやすいのは同居していることです。同居している息子が事業をしている場合です。
かつ、被相続人の宅地を使って事業をしていれば、その宅地が評価減の対象になってきます。
もし、子が事業をしているのであれば、上記のような状況を作り出すことは可能ですね。
すなわち、まず同居すること。
そして、事務所やお店を第三者から賃貸して事業をしているのであれば、父親の所有する不動産を使って事業をできないか、考えることです。
これができれば、土地の評価が400m2まで、80%も評価減できるわけですから、該当しそうな場合は、検討してみる価値があるのではないでしょうか。
なお、この評価減は会社で事業を行っている場合にも使うことができます。
その場合には、また別な要件がありますので、それは次回、お話したいと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
またまた東京はまんぼうになってしまいますね。それによって様々な会合が中止になってきています。
慣れたとは言え、予定がどんどん消えていくというのは、寂しいものですね。
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