実践!相続税対策
孫養子や孫への贈与【実践!相続税対策】第532号
2022.03.09
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
相続税対策のために、養子縁組をすることがあります。
なかでも多いのは、孫を養子にするケースです。
養子にすると子として法定相続人が増えることになり、相続税上、次のような効果があります。
1.基礎控除額が、600万円増える
2.死亡保険金の非課税額が、500万円増える
3.死亡退職金の非課税額が、500万円増える
4.相続税の総額の計算上、1人当たりの課税標準額が下がり、累進税率が下がる
ただし、孫を養子にした場合には、相続を一世代飛ばすことになるため、孫養子の相続税は2割加算する、という規定があります。
そのため、2割加算されるのでは意味がないと、やめるケースもあります。
ただし、これは孫養子が相続または遺贈により財産をもらった場合です。
相続で財産をもらわなければ、2割加算の対象となる相続税がありませんので、当然、2割加算は行われません。
この場合においても、上記4つの節税メリットは適用されます。
すなわち、孫を養子にしても、孫が財産を相続しなければ、上記4つのメリットのみ享受することができる、ということになります。
また、似たようなこととして、相続開始前3年内の生前贈与加算があります。
この規定は、相続開始前3年内に、被相続人から贈与を受けた財産は、相続財産に加算して相続税を計算しなければならない、という規定です。
相続税対策として、生前贈与を行うことがありますが、亡くなる前3年内に贈与したものは、相続財産に戻して相続税を計算をする、ということです。
したがって、せっかく生前贈与しても、亡くなる前3年内のものは、相続税の節税効果がなかった、ということになります。
ただし、この生前贈与を加算する規定が適用されるのは、相続または遺贈により財産を取得した人、です。
相続で財産をもらわなかった人は、対象になりません。
したがって、たとえば孫に3年内に贈与していたとしても、孫は通常、相続人ではありませんので、孫に贈与した財産は、相続財産に加算する必要はありません。
孫が養子になっていたとしても、相続で財産をもらわなければ、3年内贈与を加算する必要はない、ということですね。
これらのことも考慮して、孫養子や生前贈与などをどうするか、考えておくと良いのではないでしょうか。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
確定申告も期日が迫ってきましたが、ギリギリになると納税の手続きが大変と気になるところです。
ただ、最近はネットバンキングやダイレクト納付、クレジットカードの納付もできるようになり、その点の心配がグッと減りましたね。
その点は本当に便利になったなと思います。
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