実践!相続税対策
住宅取得資金の相続時精算課税制度【実践!相続税対策】第535号
2022.03.30
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
相続時精算課税は、ご存知の方も多いかと思います。
60歳以上の親や祖父母から、20歳以上の子や孫が贈与を受けた場合に、その対象となります。
相続時精算課税を選択した場合は、2,500万円まで贈与税がかかりません。
2,500万円を超えた場合には、その超えた金額の20%の贈与税がかかることになります。
さらに、その贈与者が亡くなった場合は、相続時精算課税により贈与を受けた財産は、相続財産に加算して相続税を計算することになります。
その上で、相続時精算課税により納付した贈与税がある場合は、相続税から控除することになります。
贈与の時には2,500万円まで贈与税はかけないが、相続の時には相続税で精算してくださいね、という税制です。
この相続時精算課税、贈与者の年齢が60歳以上である必要があります。
また、この60歳というのは、贈与をした年の1月1日の年齢で判断しますので、注意しておかなければなりません。
なお、贈与を受ける人の年齢ですが、これは明後日4/1からの贈与においては、18歳に下がります。民法の成年年齢の改正によるものです。
こちらも、贈与を受ける年の1月1日の年齢によります。
以上のように相続時精算課税は、贈与者、受贈者の年齢に注意しなければなりませんが、贈与者の年齢を問わない相続時精算課税もあります。
それが、住宅取得資金を贈与する場合の相続時精算課税です。
この場合には親の年齢制限がありません。
住宅取得資金贈与の要件に該当すれば、親が50代であっても、大きなお金を子に贈与することができます。
住宅取得資金の贈与については、別途、住宅取得資金贈与の非課税特例があります。
令和4年からは、省エネ等の住宅の場合は 1,000万円、それ以外の住宅の場合は500万円の非課税枠があります。
通常はこちらの非課税枠のみを使う場合が多いですが、今年から非課税枠が減っていることもあり、もっと多くの金額を贈与する場合は、相続時精算課税を併用することも考えるとよいでしょう。
住宅取得等資金の相続時精算課税が面白いのは、親の年齢を問わないということです。
たとえば、50代の親から子に大きなお金を贈与したい場合は、まず住宅取得資金としていくらか贈与すれば、その後の贈与も相続時精算課税が適用できる、ということになります。
もちろん、住宅取得資金贈与の要件を満たさなければいけませんが。
たとえば、500万円を住宅取得資金贈与で相続時精算課税を使えば、その後2,000万円の贈与は他の用途の贈与でも相続時精算課税を使うことができます。
60歳以上であれば、そのような必要はありませんが、それ以下の年齢で相続時精算課税を使いたい場合は、そのような方法もあるということですね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
文中にも書きましたが、明後日の4月1日より成年年齢が、20歳以上から18歳以上に下がります。テレビのインタビューでもやっていましたが、18歳の子たちは、実感がわかないという回答が多かったですね。
税法でも20歳以上という規定が結構ありますが、それが皆18歳以上に変わることになります。私たちもちょっと実感がわかないかも知れませんね。
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