実践!相続税対策
相続税はどのようにして計算するのか【実践!相続税対策】第537号
2022.04.13
おはようございます。
4月より、当法人に入社しました税理士の牛嶋洋一です。
今後、本メルマガの執筆も分担させていただきますので、よろしくお願いいたします。
今回は、基本の基本に戻って相続税の計算の仕方を、ざっと見ていきます。
個別の特例や評価方法を知っていても、結局のところ税額にどのくらい影響するのかは、その計算方法を知らないとわかりません。
その意味で、計算の流れを知っておくことが大事です。
では、段階を追って見ていきましょう。
第1段階:各人の課税価格の計算
まずは、相続または遺贈により財産を取得した人ごとに、相続税の課税価格を計算していきます。
課税価格は、おおむね以下のように計算されます。
1.相続または遺贈により取得した財産の相続税評価を計算します。
2.死亡保険金や死亡退職金など、相続財産とみなされる財産の価額を加算します。
なお、死亡保険金や死亡退職金には、非課税金額がありますので、その金額を控除します。
3.相続時精算課税を適用した贈与財産の価額を加算します。
4.借入金や未払税金等の債務と、葬式費用を控除します。
5.相続開始前3年以内に、贈与した財産の価格を加算します。
以上により、各人の課税価格が計算されます。
第2段階:相続税の総額の計算
次に、相続税の総額を計算していきます。
1.第1段階で計算した各人の課税価格を合計して、課税価格の合計額を計算します。
2.1の合計額から、基礎控除額を差し引いて課税遺産額を計算します。基礎控除額は、次のとおりです。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
3.2で算出された課税遺産額を、民法に定める法定相続分により取得したものとして、各法定相続人の取得金額を計算します。
4.3で算出された各法定相続人の取得金額に、相続税の税率(10%~55%)を乗じて、税額を算出します。
5.4の各法定相続人の税額を合計して、相続税の総額を計算します。
※相続税の総額を法定相続分で計算する意味は、財産の分け方で相続税額が変動することを防止するためです。
第3段階:各人ごとの相続税額の計算
第2段階で計算した相続税の総額を、財産を取得した人の課税価格に応じて按分し、各人ごとの税額を計算します。
第4段階:各人の納付税額の計算
第3段階で算出した各人ごとの税額に、各種の加減を行って、最終的な各人の納付税額を算出します。
加減の主なものは、次のとおりです。
1.相続税額の2割加算
被相続人の配偶者、父母、子以外の場合は、相続税額の2割を加算します。
2.各種税額控除
配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相似相続控除などの税額控除があれば、差し引きます。
3.贈与税額控除
通常の贈与税は、相続開始前3年以内に支払った贈与税を、相続時精算課税分の贈与税は、支払ったすべての贈与税を、差し引きます。
以上の4段階を経て、最終的な相続税が計算されます。
かなり大雑把に記載しましたが、それでもかなり複雑な計算になっていますね。
やはり、生身の人間に課税するので、いろいろな事情を考慮しなければならないため、このように複雑な計算体系になったのではないか、と思っています。
《担当:税理士 牛嶋 洋一》
編集後記
オミクロン株の変異種が次々と出てきて、コロナ感染者数なかなか減りませんね。
早くマスクが取れて、大勢の飲み会ができて、海外旅行が自由に行ける元通りの生活に戻ってほしいものです。
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