実践!相続税対策
書面添付による意見聴取【実践!相続税対策】第553号
2022.08.03
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
先日、ある相続税の申告に関して、税務署から連絡があり、意見聴取を受けてきました。
これは、税理士法 第33条の2第1項 に定められている書面添付制度によるものです。
書面添付とは、税理士が申告書を作成するにあたって、どのような資料を元に、どのように判断して作成したか、あるいはどのような相談を受けたかを、項目ごとに具体的に記載して、申告書とともに提出するものです。
この書面を提出した場合には、税務署は税務調査を実施する際には、税理士に対して意見聴取を行う必要があります。
この意見聴取により、調査の必要がないと判断した場合には、税務調査が行われないことになります。
この書面添付を行うかどうかは、税理士が判断することになります。したがって、行っている事務所もあれば行っていない事務所もあります。
私どもの場合には、相続税申告をする際には、必ず書面添付を行っています。
この書面添付を行っていることにより、近年は税務調査は、ほとんど行われないていない状況です。
添付書面に、税務署が疑問に思うだろうところは、詳細に説明を付け加えていることも、あるかと思います。
そのため、冒頭の意見聴取は、久しぶりのものです。
不動産もいくつかあり、複雑な評価をしている物件もあり、その点なども聴取されるかと思いましたが、それにはまったく触れられませんでした。
添付書面にしっかり評価方法を書いておきましたので、問題なかったということです。
税理士が作成する申告書は、不動産などに関しては、様々な資料をとって、かなり細かく評価しますので、問題になることは少ないですね。
今回もやはり聴取のポイントは、現金預金に関することです。
被相続人の生前の収入や資産の保有状況に対して、相続時の現金預金が少な過ぎるのではないか。
相続人等に対する贈与や名義預金等はどうか、生前の現預金の使途はどうだったのか、等々がポイントです。
私どもも申告するときには、最低でも相続前5年間くらいの通帳等を確認させてもらうようにしています。
税務署も金融機関等を調べた上で、税務調査などの下調べをしていますので、そこはできるだけ明確にしておく必要がありますね。
是非、大きな預金の移動などは注意しておき、メモや領収書、振込み書類などを残しておくことが大事かと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
本文にも書きましたように、相続税の税務調査は預金や現金、有価証券などに関するものが多いですね。
相続前に預金を引き出しているケースは、本当に多いのですが多くの場合は、相続人の方がタンス預金がこのくらいある、ということを申し出てくれます。
申告しないで心配を残すよりも、申告して税金を払っておいた方が、精神衛生上、よほど良いと思いますね。
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