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実践!相続税対策

建物と土地の名義が違うときは注意【実践!相続税対策】第555号

建物と土地の名義が違うときは注意【実践!相続税対策】第555号

2022.08.17

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

相続税の申告をする際、土地と建物の名義が違う場合がよくあります。親子で、土地と建物を持っているようなケースです。

この場合は、ちょっと注意しておく必要があります。

多いのは、土地は親の名義、建物は子の名義というケースです。

親の所有している土地に、子がマイホームを建てて家族で住んでいる、というような場合ですね。

この場合、子が地代を払っていることは、ほぼありません。せいぜい、土地の固定資産税を子が負担している、という程度でしょう。

このような場合は、使用貸借ということになります。

通常、他の者に土地を貸して他の者が建物を建てているような場合は、相続税上、貸宅地としての評価になります。

すなわち、借地権部分を控除して評価します。

ただし、使用貸借の場合には、借地権部分は控除することはできず、自用地評価(更地評価)となります。

上記のように、親が土地、子が建物の場合は、それほど難しいことはありません。よくあることです。

ただし、逆の場合は、間違いやすくなりますので、要注意です。

すなわち、土地を子が所有しており、建物は親が所有している、というケースです。

子の土地に親が建物を建てる、ということは、あまりないですね。

では、どういう場合に、上記のようになるかと言うと、親が借地に建物を建てていたような場合です。

すなわち、親は借地権を持っていることになります。

この場合に、地主から底地を買って欲しい、と言われたとします。

親は高齢で、いずれは子にこの不動産は相続する予定であれば、底地は子が買い取る、ということはよくあることです。

子が底地を買い取ると、登記簿謄本上、親が建物を所有しており、子が土地を所有している状態になります。

この場合に、子が親から地代をもらうことは、まずないと思います。

そうなると、親が持っていた借地権は、いつの間にか消えてしまい、親は単に建物を持っているに過ぎなくなります。

このような場合、税務上は、親が子に借地権を贈与した、という解釈になります。

上記のように解釈されると、子に多額の贈与税がかかることになります。

これを防ぐためには、親と子の連名で「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を、税務署に提出する必要があります。

親は借地権を放棄しておらず、借地権者の地位に変更はない、ということを税務署に申し出るわけです。

「借地権は贈与していませんよ。」ということですね。

したがって、親の相続のときには、その借地権を相続財産として計上する必要があります。

私たち税理士が、その経緯を知らず、土地建物の謄本だけを見て、親の相続財産は建物だけにしてしまい、借地権の計上が漏れてしまうと、後で多額の相続税を追徴されることになります。

相続人の方が、過去に「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を出していることを、把握していることは、まず考えられませんので、ここは税理士が注意するしかない、ですね。

ましてや、その申出書を提出せず、贈与税の課税も税務署に把握されずにきていることもあり得ますから、この場合はどう取り扱うか、十分注意しなければなりません。

子が土地を持っていて、親が建物を持っている、というようなケースがあったら、要注意、ということですね。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

コロナ感染はまだ高水準ではありますが、行動制限がない、ワクチン接種も進んでいる、ということもあり、私どもが主催する交流会でも、昨日は納涼会を行いました。

これだけの新規感染者がいたら、ちょっと前までは緊急事態宣言でしたが、今はないので、飲食OKというのも何か不思議な気がします。本当に何が正しい感染防止策なのか、もう少し科学的に出せないものですかね...。

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