実践!相続税対策
遺言と異なる遺産分割をした場合【実践!相続税対策】第557号
2022.08.31
おはようございます。
税理士の牛嶋洋一です。
遺言を残すことは、亡くなった後のトラブルを防ぐことや、スムーズな財産の引き継ぎのために有効な方法です。
一方、残された遺族にとってみると、その遺言の内容が不公平で、必ずしも納得できるものとは限らない場合もあるかと思います。
たとえば、高齢の夫婦と子が3人いて、夫が亡くなった場合の相続人は、妻と子3人になります。
法定相続分どおりにいけば、妻2分の1、子はそれぞれ6分の1ずつとなります。
ところが、夫の遺言書の内容が「妻に全財産を相続させる」となっているとします。
しかし、子供たちはそれぞれの家庭を持っていて、生活費がかかるなどの事情があるとなると、遺言どおりに分割するのが合理的ではない、と考える場合もあるでしょう。
遺言は最大限考慮されるべきですが、それとは違った分割を希望する場合も考えられます。
解決策としては、子がそれぞれ遺留分侵害額請求権を行使して、法定相続分の半分の12分の1を請求するという方法もあります。
しかし、相続人全員が合意できるならば遺言とは異なる遺産分割協議をして、遺産分割をする方がよいでしょう。
遺言と異なる遺産分割がそもそも認められるのかという疑問が出てきますが、民法では遺言で禁じた場合を除いて遺産分割できることになっています。
相続税の申告も、遺言ではなく、遺産分割協議の結果に基づいて申告することになります。
なお、上記で遺言どおりにしなかった場合、妻だけでなく、子にも財産が相続されることになります。
この場合、妻から子への贈与があったものとされて、贈与税が課されるのではないかと、思われるかも知れません。
この場合でも、遺産分割協議で財産を取得することになりますので、贈与税が課されることはありません。
いざ相続が開始し、遺言があったとしても、遺言とは異なる遺産分割ができることは、覚えておいたほうがよいでしょう。
《担当:税理士 牛嶋 洋一》
編集後記
少し涼しくなってきましたが、まだ暑い日があったり、雨の降る日も多いです。
今週は、台風の発生もありそうです。
この時期は、梅雨時よりも雨量が多くなることも多いそうです。
私は週末に、旅行をする予定なので、天気が心配です。
晴れてくれることを祈っているのですが。
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