実践!相続税対策
節税と居住用財産の関係【実践!相続税対策】第571号
2022.12.07
おはようございます。
税理士の青木智美です。
今回も弊社にあった実際のお問い合わせから、節税と居住用財産の関係について一緒に考えていきましょう。
状況としては、新しく自宅を購入するにあたり、自宅を夫婦共同名義にし、相続税の節税をしたいとのことでした。
通常ですと、夫と妻の財産が同程度であれば、今後の生活設計も踏まえながら、実際にお支払いができる範囲で、持分割合を設定するという着地が多いかと思います。
今回のケースは、夫の財産が多く、妻と夫の年齢が離れているとのことでした。
つまりは、夫は現金で一括購入できるが、妻は貯金から出せる金額はなく、夫からの贈与ないし、夫から借入をする必要がありました。
このような場合にあえて、建物に妻の名義を入れることは、有効な節税策といえるのでしょうか。
まずは、夫から贈与により資金を取得するとなると、贈与税がかかります。
また、借入れしたとしても、夫が亡くなるまでに返済し切れなかった財産は、夫の相続財産となります。
それでは、次に、居住用財産に認められている優遇措置を確認していきましょう。
まず、相続時においては、小規模宅地等の特例があります。
こちらは、夫の自宅の土地につき、妻が取得する場合には、330m2まで評価額を20%(80%減額)まで引き下げて評価することができます。
また、婚姻期間が20年を過ぎた場合には、自宅の贈与をした場合に、2,000万円控除があることから、
2,000万円+基礎控除110万円までは、無税で贈与することが可能となります。
以上のことをふまえると、無理に今の段階で、贈与税を支払ったり、返済が求められる借入をする必要はなさそうです。
相続税のみを考えてお話するのであれば、むしろ自宅を夫名義にすることにより、相続税の節税が図れることになります。
節税は、また別の財産で検討された方がよさそうです。
なお、妻がまだお若い場合、2次相続もそこまで気にする必要がなければ、配偶者の税額軽減により、妻が1億6,000万円まで相続しても、相続税はかかりません。
このようなことも考慮いただき、皆様もご自宅を取得される際の参考にしていただければと思います。
《担当:税理士 青木 智美》
編集後記
つい先日まであったかかく、いつ冬が来るのかと思っていましたが、急に寒くなりました。
本当に季節の変わり目は風邪をひかないように注意が必要です。
皆様もどうぞご自愛くださいませ。
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