実践!相続税対策
贈与税の課税方式が変わる【実践!相続税対策】第577号
2023.01.18
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
令和5年度の税制改正大綱において、贈与制度が改正されることは、第573号でお伝えしました。
生前贈与の相続財産への加算期間が、3年から7年になるということと、相続時精算課税に、年110万円の基礎控除が設けられる、というのが、大きな改正です。
これらの改正は、相続税対策に大きく影響してきます。
亡くなる前7年間に相続人に行った贈与は、相続財産に加算されてしまいますから、相続税対策にはならない、ということになります。
贈与をするのであれば、もっと早い時期からしておかないと、相続税対策としては効果がなくなります。
その点、高齢になってから相続税対策をするのであれば、相続時精算課税を選択した方が良いかも知れません。
今回の改正で、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が設けられるからです。
相続時精算課税を選択した場合には、累計で2,500万円までの贈与については、贈与税がかかりません。
ただし、この制度を選択した場合は、その後の贈与は、少額であってもすべて申告することになっていました。
さらに、相続時にはこの制度を使って贈与した財産は、相続財産に加算して、相続税を計算することになっています。
今回の改正で、相続時精算課税にも基礎控除110万円が設けられることにより、この制度を選択しても年110万円までの贈与は申告をしなくてもよいし、累計2,500万円の計算にも含めなくてよいことになります。
すなわち、贈与税もかからないし、相続税もかからない、ということになります。
たとえば、父親から110万円贈与を受けて、相続時精算課税を選択したとします。
その後、毎年父親から110万円の贈与を受けても、基礎控除以内ですから、贈与税はかからず、相続税もかからないということになります。
ある年に、父親から200万円の贈与を受けた場合は、110万円を控除した90万円が、贈与税の対象になりますが、累計2,500万円以内であれば、贈与税はかかりません。
この90万円に関しては、相続税の対象にはなります。
相続時精算課税を選択して、父親からの贈与は毎年110万円以内におさえておけば、贈与税も相続税もかからない、ということですね。
さらに、母親からの贈与は、相続時精算課税を選択しなかったとします。
そうなると通常の暦年課税になり、こちらは今までどおり110万円の基礎控除がありますので、110万円までは贈与税がかかりません。
父親からは、相続時精算課税で110万円の非課税枠、母親からは、暦年課税で110万円の非課税枠、合わせて220万円の非課税枠がある、ということになりますね。
これらの改正は、令和6年1月1日以後の贈与に適用されますので、来年以降の相続税対策は、かなり変わってくるのではないかと思います。
相続税対策が必要な方は、是非、よく考えてみていただければと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
新年始まったと思ったら、あっという間に1月も後半になっていますね。
私どもはこれからの時期が最も繁忙期になっていきます。
今年は恐らく確定申告は3月15日期限でしょうから、今までコロナ延長でノンビリしていた人も、今年は早目に準備していかないといけないですね。
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