実践!相続税対策
介護費用のため実家を売却する場合【実践!相続税対策】第578号
2023.01.25
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
将来、親が認知症になって老人ホーム等の介護費用に充てるため、そのときは実家を売却したい、というような相談がよくあります。
ただ、認知症になってしまうと契約行為ができなくなってしまうため、不動産を売却することができません。
そこで、何らかの対策を考えておかなければなりません。
1つは、実家を子に生前贈与をしてしまう、ということが考えられます。
ただ、土地は路線価で評価されるため、時価よりは低いものの、それなりの金額になり、高い税率の贈与税がかかってくるので、現実的ではありません。
そこで贈与でも、先週も税制改正で紹介した相続時精算課税を使うという方法もあります。
この方法であれば、2,500万円までの評価であれば、贈与時には贈与税はかからず、相続税の計算に含めればよいことになります。
ただし、相続時精算課税で贈与された実家については、相続時に大きく評価減ができる小規模宅地特例を使うことはできなくなります。
この点は、今回の税制改正でも改正はされませんでした。
その他に信託という方法も考えられます。
親が元気なうちに、実家を子を受託者として信託しておけば、親が老人ホームに入ったときなどは、子が売主として、実家を売却することができます。
信託を設定したときは、親から子に所有権が移りますが、親が受益者であれば、譲渡所得課税は行われません。
子が売主として実家を売却した場合は、税務上は親が売却した扱いとなり、その際に親に譲渡所得が課税されます。
住まなくなってから3年目の年末までに売却した場合は、居住用の3,000万円特別控除も使うことができます。
さらにリースバックという方法も考えられます。
リースバックとは、一旦親がリースバック事業者に実家を売却しますが、家賃を払ってそのまま住み続けられるしくみです。
売却したときのお金をプールしておけば、老人ホームに入るときなどのお金に充てることができます。
リースバックで実家を売却した場合でも、居住用の3,000万円特別控除を使うことができます。
リースバックの税金については、2021/07/14の第499号に書いていますので、ご参照ください。
以上、将来、上記のような心配がある場合は、事前に対策をしっかり考えておくことが、重要かと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
昨晩から東京も非常に寒くなってきましたね。
特にきのうは夜、風が強くなってきたので凍えるくらいの感じでした。
一辺に酔いが覚めてしまいました(笑)。
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