実践!相続税対策
生前贈与加算の対象者【実践!相続税対策】第580号
2023.02.08
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
2月に入り、贈与税の申告受付は、既に始まっていますので、贈与があった方は、なるべく早めに申告を行ってしまいましょう。
今年の税制改正で、生前贈与をした場合に相続財産に加算される期間が、3年から7年になります。
これは何度かお話しています。
ただし、この期間に生前贈与したすべてが、加算されるわけではありません。
相続財産に加算されるのは、相続または遺贈により財産を取得した者、に限られます。
すなわち、相続で財産を取得する相続人や、遺言で財産を取得する者(受遺者)に対して、贈与が行われていた場合に加算される、ということです。
相続で財産を取得していない者に対して、生前贈与があった場合は、相続財産に加算されることはありません。
たとえば、亡くなった方の孫や、子の配偶者、兄弟や甥、姪などに対して行っていた贈与は、加算の対象にならない、ことになります。
もちろん、相続人や受遺者でない場合です。
相続税対策として、このような人たちに、生前贈与をするということも、よくあります。
ただ、相続や遺言で財産をもらわなくても、加算の対象になることがあります。
それは、みなし相続財産があるような場合です。
みなし相続財産とは、相続財産ではないが、相続財産とみなして相続税の課税対象になるものです。
たとえば、死亡保険金を受け取った場合です。
孫が祖父の死亡により保険金を受け取った場合は、その孫に対して生前贈与があれば、それも相続財産に加算することになります。
また、死亡時に保険金を受け取るものでなくても、たとえば、孫が契約者で被保険者である生命保険の保険料を、祖父が負担していたような場合、孫が保険金を受け取る権利を引き継いだものとして、相続財産とみなされます。
このような場合も、生前贈与があれば加算される、ということになります。
よくあるのは、契約者は元々祖父だったのが、途中で孫に名義変更しているようなケースです。
このような場合は、その保険契約に関する権利に相続税がかかるとともに、生前贈与があれば、それも加算もされてしまいますので、注意しなければなりませんね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
贈与税の申告が始まっていますが、過去には億を超えるような贈与もありました。
贈与税の最高税率は4,500万円を超えると55%にもなりますので、低税率部分を含めても50%近くになります。
ものすごい贈与税ではありますが、考えようによっては半分は残るわけです。
どうしても早めに贈与して、後顧の憂いもなく残った部分を大手を振って使いたい、というのであれば、それも確かに選択肢としてあるのではないかと思いますね。
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