実践!相続税対策
マンションの相続税評価の見直し【実践!相続税対策】第584号
2023.03.08
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
マンション、特にタワーマンションは、市場価格と相続税評価額の乖離が大きくなることがあり、本年その見直しが検討されています。
昨年、令和4年4月19日の最高裁判決において、市場価格との乖離や租税回避目的を理由として、路線価評価が否認されたことは、記憶に新しいところです。
マンションの相続税評価については、令和5年度の税制改正大綱には入りませんでしたが、その検討をする旨が、明記されています。
それを受け国税庁は、第1回有識者会議を、令和5年1月30日に開催しています。
早速動き出したことで、その力の入れ具合がわかる気がします。この改正がいつ、どのようにになるのか、気になるところです。
第1回有識者会議では、国税庁からの資料により現状の評価や市場価格との乖離の実態などが説明され、今後の議論の方向性について、意見交換がされています。
国税庁の資料によると、次のような方向性、意見が出されています。
・今回の見直しは、評価額と時価の乖離を適切に是正することを目的とするものであって、一部の租税回避行為の防止のみを目的として行うものではない。
・価格乖離の問題は、タワーマンションだけではなく、マンション全体にいえる。
そうすると、時価主義の観点からは、見直しの範囲を一部のタワーマンションに限定すべきではない。
・評価方法を見直した結果、評価額が時価を超えることとならないようにする配慮が必要。
・時価と相続税評価額との価格乖離の要因分析を行うに当たり、統計的手法による分析が有用ではないか。
・市場への影響にも配慮すべき。
(販売時において、マンションと一戸建ての選択におけるバイアスがかからないように、一戸建てとのバランスにも配慮し、急激な評価増にならないようにすべき)
・足元、マンション市場は新型コロナウィルス感染症の影響により、建築資材の価格が高騰していることから、いわゆるコロナ前の時期における実態も把握する必要がある。
また、別途情報として、地価と評価額に2倍以上の乖離がある場合、それを2倍以内に抑制する方向で、財産評価基本通達を見直す検討がされている、とのことです。
今後の議論や改正のスケジュールはわかりませんが、皆様の関心の高いところでもありますので、注視していきたいと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
急速に暖かくなってきた感じですね。桜の満開も思ったより早いのかも知れません。
今年は久しぶりに花見に行こう、という話も多いのでは?と思います。是非、花見したいですね。
メルマガ【実践!相続税対策】登録はコチラ
⇒ https://www.mag2.com/m/0001306693.html