実践!相続税対策
空室がある場合のアパート敷地の評価【実践!相続税対策】第585号
2023.03.15
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
アパートなど賃貸の用に供する建物の敷地は、相続税評価上、貸家建付地として評価減されます。
評価減の割合は、<借地権割合×借家権割合>となります。
借地権割合は、住宅地ですと60%あるいは70%が多く、借家権割合は、一律30%です。
借地権割合が70%の地域であれば、70%×30%=21%となり、路線価等で評価した価額から、21%を評価減することができます。
したがって、よく空地で持っているよりも、アパートを建てた方が相続税対策になる、と言われる訳です。
その他に現金を建物という資産に替えたり、借金を作ることで相続税対策になる、という面もあります。
ただし、注意しなければいけないのは、単純に、<借地権割合×借家権割合>の分だけ評価減されるのではない、ということです。
この割合に、賃貸割合を乗ずる必要があります。
すなわち、相続が起こったときに、アパートの全部屋の内、何部屋を貸しているか、という賃貸割合を乗ずることになります。
たとえば、10部屋ある内、5部屋しか貸していなければ、評価減割合は、半分になってしまう、ということです。
したがって、アパートを建てたから評価減ができて、相続税対策になるのではなく、一旦空室になってもすぐ埋まるよう、しっかりした賃貸経営ができている必要があります。
そこを考えた上で、アパート等の建築をしないと、評価減ができないばかりか、アパートローンの返済に苦しむことになってしまいます。
なお、一時的に空室になっているときに、相続が起こってしまった場合は、どうなのか、という疑問もあります。
この場合は、空室になった後、速やかに新たな賃借人の募集が行われているかどうか、空室は相続の前後1か月程度であるかどうか、などの要件を満たせば評価減ができる可能性はあります。
ただし、この判断に関しては近年厳しくなっているように感じます。
さらに、アパート等の敷地に関しては、小規模宅地特例による評価減もあります。
これについても空室になっている場合は、評価減ができない可能性があります。
貸家建付地の評価減よりも、空室の場合の評価減の判断基準はゆるいと解釈されていますが、実務的には同じと考えておいた方が良いかと思います。
いずれにせよ、アパートやマンションの建築は、賃貸経営の資金繰り面においても、相続税対策面においても、慎重に計画を練った上で、実行する必要がありますね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
今日は3月15日、確定申告の最終日です。ただ、まだ終わっていないお客様もあり、今日1日気が抜けないところですね。
最終日、飛び込みで来るようなことがないといいのですが。
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