実践!相続税対策
2世帯住宅に住んでいた親が老人ホームに入居した場合【実践!相続税対策】第592号
2023.05.03
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
たとえば、1階が親世帯、2階が子世帯などで中で行き来ができない、完全分離型の2世帯住宅であっても、小規模宅地の特例を適用することができます。
小規模宅地の特例とは、居住用不動産(自宅)を相続した場合、その敷地の評価において330m2まで80%評価減をすることができる特例です。
小規模宅地の特例は、自宅の敷地を配偶者か同居親族が相続した場合などに、適用することができます。
2世帯住宅の場合は、完全分離型であっても、同居しているものとみなされます。
ただし、建物が一の建物である必要があります。
したがって、1階と2階が区分所有登記をされていると、2つの建物になりますので、2階に住んでいる子が土地を相続しても、小規模宅地の特例の適用を受けることができなくなります。
そのため、区分所有登記がされている2つの建物を、合併登記することにより、一の建物にして、小規模宅地の特例を受けられるよう対策をすることがあります。
先日もそのようなご相談があり、建物の合併登記をすることになりましたが、土地建物の所有者であるお父様は現在、老人ホームに入っているとのことでした。
お母様は既に他界されています。
したがって、お父様が住んでいた1階は現在、空室になっているとのことです。
当初は合併登記をして、小規模宅地特例を受けられるようにするという話でしたが、ここで1つ疑問が出てきます。
それは、お父様がこの家に住んでいたときは、完全分離型の2世帯住宅であり、その状態で老人ホームに移られています。
すなわち、お父様と子は、一の建物に住んでいた期間はない、ということになります。
これでは同居していたとはみなされない、と考えられます。
同居していたかどうかは、あくまで老人ホームに入居する直前の状況で、同居していたか、ということです。
この時点では2つの建物であり、同居していたとは言えない、という判断です。
2世帯住宅が区分所有登記されている場合で、上記のような対策が必要な場合は、親が元気なときに、老人ホームなどに入る前に、行うことが肝要です。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
GW真っ只中ですね。天気もいいし、コロナの制限もなくなっているので、どこかに出かけたい気分になりますね。
私達もこれから伊豆の方に行きますが、恐らく渋滞なのでしょうね。何時に出るか、早朝は機を逸してしまっていますので、考えどころです(笑)。
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