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実践!相続税対策

相続時精算課税の届出書【実践!相続税対策】第609号

相続時精算課税の届出書【実践!相続税対策】第609号

2023.08.30

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

相続時精算課税(以下、精算課税と略します)については、8/2の第605号でも書きましたが、これについてもう少し書きたいと思います。

精算課税の概要については、第605号の方でもご確認ください。

来年、2024年1月1日からの贈与については、精算課税にも、110万円の基礎控除ができます。

精算課税を選択した場合でも、毎年110万円までの贈与であれば、贈与税の対象にならなくなります。

精算課税は、累計で2,500万円までの非課税枠がありますが、毎年110万円まではその計算にも含まれなくなります。

したがって、贈与税の申告も必要なくなります。

さらに、相続のときにも、相続財産に加算する必要はありません。

精算課税を選択した場合の贈与であれば、いつの時点の贈与であっても、110万円までであれば贈与税はかからず、相続税もかからない、ということになります。

したがって、余命が短いということがわかってから、子や孫に対して、精算課税により贈与をすれば、1人110万円までは贈与税もかからないし、相続税もかからない、ということになります。

こういう活用をする人も増えてくるのでは?と思います。

精算課税を選択した初年度に、110万円以内の贈与をした場合は、贈与税の申告も必要ありません。

ただし、注意しなければいけないのは、贈与の翌年3月15日までに、精算課税の選択届出書を提出しなければならない、ということです。

110万円以内ならば、贈与税の申告が必要ないので、精算課税の届出書を提出するのを失念してしまう可能性があります。

この場合には、暦年課税になりますので、110万円以内であれば、こちらも贈与税はかかりませんので、それだけであれば、問題はありません。

ただし、他の方から同一年に暦年課税で110万円以内の贈与を受ける場合には、合算されて贈与税がかかってきます。

さらに、翌年以降に精算課税を適用したと思って、大きな財産の贈与を受けた場合には、多額の贈与税がかかってくる可能性があります。

また、相続時に生前贈与を加算するのかどうかは、精算課税を選択しているかどうかによって、変わってきます。

精算課税の届出書を出しているかどうかは、その後に非常に大きな影響を与えてきますので、しっかり管理しておくことが重要ですね。

今後、私ども税理士が相続税の申告を依頼されるときは、この精算課税の選択をしているか、届出書を出しているか、それを確認することが必須になってきますね。

一般の方は、なかなかそこまで意識していないでしょうから、税務署への確認の手間も必要になってくるのかと思います。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

もう8月も終わり、子どもたちの夏休みも終わり、日常が戻ってくる感じでしょうか。
子どもの頃は夏休みはかなり長く感じましたが、大人になってからは休みも少ないせいか、8月あっという間に過ぎますね。今年は皆様はいい夏休みが取れましたでしょうか?

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