実践!相続税対策
親が認知症になりかけた場合の建て替えや売却【実践!相続税対策】第613号
2023.09.27
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
親が所有しているアパートが老朽化しており、その建て替えまたは売却を考えているが、どうも最近は認知が入ってきて、意思表示ができるかどうか、危うくなってきた、というご相談がよくあります。
意思表示ができなくなると、ハウスメーカーや建築業者などと、建築請負契約を締結するのが困難となってきます。
立退き、取壊し、建て替えには、それなりの期間がかかりますから、その間に認知症が進んでしまうと、様々な判断や、契約ができなくなってしまいます。
このようなケースでは、業者の方もリスクがあるので、請けられない、ということになります。
もちろん、売却するのも買主との契約、所有権移転の登記が必要ですから、明確な意思表示が必要となってきます。
認知症が進んでしまうと、建て替えも売却も厳しくなるということですね。
そこで1つの方法として、認知症が進む前に子に贈与してしまう、ということが考えられます。
もちろん、贈与をする場合でも意思表示ができる必要がありますが、第三者との契約ではないので、多少はハードルが低くなる可能性があります。
ただし、不動産を贈与する場合は登記が必要ですから、司法書士さんが親の意思を確認することになりますので、司法書士さんにもよるかも知れません。
不動産を贈与すれば、通常は多額の贈与税がかかってきます。
そこで、相続時精算課税の活用が考えられます。
相続時精算課税であれば、2,500万円までは贈与税がかからず、2,500万円を超えた場合は、超えた金額の20%の贈与税がかかってきます。
この場合の不動産の評価額は、相続税評価によります。
路線価や固定資産税評価額を基に評価しますので、時価よりは低くなります。
また、アパートであれば、土地は貸家建付地評価、建物は貸家評価になりますので、さらに20%~30%程度評価が低くなります。
なお、相続時精算課税で贈与した財産は、贈与者の相続があったときに、贈与時の評価額で相続財産に加算され、相続税の対象となります。
成年後見人を付けるなどの方法もありますが、相続時精算課税を使って、子に贈与しておけば、後は子の判断により、建て替えや売却を進めていくことができます。
1つの方法として参考にしていただければと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
私もそうですが、咳が出て喉が痛いのがなかなか治らないという方が多いように思います。○角散のど飴が手放せませんが、コンビニに行っても○角散のど飴の置かれている数が、心なしか増えているような気がしますね(笑)。
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