実践!相続税対策
空き家の3,000万円特別控除の確認書【実践!相続税対策】第627号
2024.01.17
皆様、こんにちは。
税理士の北岡修一です。
相続した実家が、相続後、空き家になってしまったため売却する、ということがよくあります。
この場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から3,000万円を控除することができる特例の適用を受けることができます。
3,000万円控除ができれば、税額にかなり大きなインパクトがありますので、適用できそうな場合は確実に確定申告をする必要があります。
その主な条件とは、次のようなものです。
1.亡くなった親がひとりで住んでいた家屋であること
2.その家屋が、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(区分所有建物は対象外です)
3.相続後に、事業用、貸付用、居住用他、何の用にも供していないこと(取壊し後の更地も同様)
4.譲渡するときは、耐震工事をして現状の耐震基準に適合した上で譲渡するか、家屋を全部取壊して更地として譲渡すること
5.相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
6.譲渡価額が1億円以下であること 他
上記の条件(の一部)を満たしていることを確認するために、その不動産が所在する市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」というものを、取得する必要があります。
ただ、この確認書を取得するには、結構手間がかかります。様々な添付書類が必要になるからです。
家屋を取り壊してから、売却する場合がほとんどですので、その場合の添付書類をあげてみます。
1.被相続人の住民票の除票(原則コピー不可)
2.その家屋の相続人の住民票(原則コピー不可)
3.取壊し後の土地の売買契約書のコピー
4.その家屋の閉鎖事項証明書(原則コピー不可)
5.次のいずれかの書類
・電気ガスの閉栓証明書
・水道の使用廃止届出書
・宅建業者による「空き家で、かつ、除却又は取壊しの予定があること」を表示して広告していることを証する書面のコピー
・その他
6.取壊し後の更地の写真(撮影日が記載されたもの)
その他
上記書類を揃えるのは結構大変かなと思います。
申告直前になって、書類を揃えて申請すると申告に間に合わないことにもなりかねません。
申請しても確認書が取得できるまでは、市区町村にもよるでしょうが、2週間程度はかかるようです。
当初より、この空き家特例を受けるつもりであれば、売却活動をしている時から、上記書類を揃えることを意識して進めていくのが良いかと思います。
何事も事前の準備と段取りが大事ですね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
上記内容は以前にも書きましたが、今年の申告でもこの特例を適用する方がおり、今、確認書を取得する準備をしてもらっています。お忙しい方でなかなか苦戦しているようです...。
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