実践!相続税対策
子の会社に建物を賃貸している場合【実践!相続税対策】第628号
2024.01.24
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
自宅の敷地が広く、そこにもう1件家屋を建て、長男が経営している会社に賃貸することを考えているが、どうか、という相談がありました。
相続税対策的に言えば、それは非常に効果的であると言えます。
自宅の敷地は、配偶者や同居している親族が相続すれば、330m2まで80%評価減ができる小規模宅地特例を使うことができます。
さらに、上記の相談のように一定の同族会社に賃貸している土地は、特定同族会社事業用宅地等といって、これも400m2まで80%評価減できる小規模宅地特例を使うことができます。
しかも、居住用宅地とは別枠で使えるので、合計すると最大730m2までの土地が、80%も評価減をすることができるのです。
この特定同族会社事業用宅地等の小規模宅地特例を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
1.被相続人やその親族等が、50%超の株式を保有する法人の事業の用に供されていること。
ただし、その法人が不動産の賃貸業等を行っている場合は対象外。
2.その宅地等を取得した親族が、相続税の申告期限においてその法人の役員であり、その宅地等を申告期限まで保有していること。
3.被相続人はその同族会社に、土地または建物を相当の対価で賃貸借していること。
上記の要件は、比較的容易に満たすことができるかと思います。
親族で50%超を持っていればいい、というのは通常の同族会社であれば満たしています。
相続人が役員になっていればいい、というのも容易であり、申告期限まで宅地を保有しているというのも、事業をしているのですから、通常はそうでしょう。
あとは最後の要件、通常の賃貸借になるような家賃や地代をやり取りしている、というところが一番要注意ですね。
親族だからということで、安く貸しているとダメ、ということになります。
また、質問では1つの敷地の中に居住用と事業用がありましたが、同じ場所でなくても構いません。
自宅とは別な場所で賃貸していた家屋が空いてしまったのを、お子さんの会社に貸すとか、別な場所の空き地に建物を建てて貸すなどでも構いません。
また、その会社をお父様がやっていて、相続後、子が役員になって経営を引き継いでいくという場合でも適用することができます。
80%評価減はかなり大きいですので、親族が同族会社を経営している場合などは、この特定同族会社事業用宅地等の小規模宅地特例を適用できる可能性はないか、考えてみると良いかと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
いよいよ確定申告の時期が迫ってきましたね。
期限は3月15日ですが、還付申告の場合は既に申告可能ですし、贈与税は2月1日から申告できます。
不動産の譲渡等がある場合は、特例などで結構書類が必要になってきますから、早目早目に準備をしていった方がいいですね。
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