実践!相続税対策
空き家の3,000万円特別控除の取壊し要件【実践!相続税対策】第631号
2024.02.14
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
いよいよ今週末2月16日から、確定申告の受付が始まりますね。
確定申告のご相談も多くなっていますが、先日次のようなご相談がありました。
昨年、母親から兄弟3人で相続した実家を売却したが、かなり売却益が出た。
売却益から3,000万円を控除できるらしいが、それはできるのだろうか、ということでした。
お聞きすると、空き家の3,000万円特別控除のことでした。
本年1月16日の第627号にも書きましたが、空き家の3,000万円特別控除を受けるには、いくつかの条件があります。
その要件を1つ1つ聞いていったのですが、ほとんどの要件は満たしていたのですが、1つだけ満たさないものがありました。
それは、譲渡する前に家屋を全部取り壊して更地にして売却するか、耐震補強をして売却するか、いずれかをしないといけない、という要件でした。
残念ながら、家屋は取り壊さず、現況のまま売却してしまったそうです。
兄弟3人で相続していたので、最大9,000万円もの控除ができたのに、それができず大変残念な結果となってしまいました。
不動産の売却の際には、売る前に税金面のことを検討するというのが、いかに重要か、ということを改めて思います。
ただ、上記に関しては本年から改正になっています。
それは、取り壊しや耐震補強は、譲渡した年の翌年2月15日までに行えばよい、ということになりました。
譲渡を受けた不動産会社などが、取壊しをした場合なども対象になる、ということです。
これは、本年2024年1月1日以降の譲渡から適用されます。
もう1点、空き家を相続した者が3人以上いる場合は、控除額が1人あたり2,000万円になる、という改正も行われています。
したがって、上記のケースであれば、9,000万円ではなく6,000万円の控除になる、ということになります。
空き家を買取った業者が取り壊しを行うという場合も多いかと思いますので、よりこの制度が使いやすくなったかと思います。
ただし、取り壊した証明などもいりますので、やはり要件を満たしているかどうかは、十分に注意する必要はあります。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
久しぶりに相続セミナーを行います。
贈与制度やマンション評価の改正など、今年および近年の改正や、相続対策のポイントなどをお話していきます。
久々のセミナーで張り切っておりますので、是非、皆様のご参加をお待ちしております。
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