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実践!相続税対策

居住用財産の3,000万円控除を夫婦で使う【実践!相続税対策】第635号

居住用財産の3,000万円控除を夫婦で使う【実践!相続税対策】第635号

2024.03.13

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

確定申告もいよいよ大詰めですね。皆さまは、もう既に終わっていることかと思います。

今年もいろいろケースの申告がありましたが、居住用の3,000万円控除の申告は多かったですね。

自宅の土地建物を売却した場合に、売却益から3,000万円を控除できる、という特例です。

譲渡所得の税率は、20%ですから、3,000万円控除が適用できれば、600万円もの税金を節税することができます。

特に相続したご自宅などは、父母や祖父母がいくらで買ったかわからず、わかったとしても非常に低い金額だったりします。(取得費は引き継ぐことになります)

このような場合は、大きな売却益が出てしまうので、この3,000万円控除は、本当にありがたい特例だと思います。

居住用の特例としては、10年以上住んでいた場合には、買換え特例というのもありますが、あまりお奨めはしません。

というのも、買換え特例は、売却した自宅の取得費を、買換えた自宅の取得費として、引き継いでいくからです。

したがって、買い換えた自宅を売却したときに、多額の税金がかかってくることになります。

自分が売るならまだしも、子に相続した後に、子が売った場合も多額の税金がかかってきます。

買換え特例は、税金を先延ばし(猶予)にしているだけなので、後々非常に厄介になってきますね。

さて、3,000万円控除の話に戻ると、今回の申告ではちょっと残念なことがありました。

そのケースは、夫婦で共有している自宅を売って、多額の売却益が出ているケースです。

当然、3,000万円控除を使うことになるのですが、夫婦共有なので、その方々は6,000万円分控除ができると思っていらっしゃいました。

その金額近くの売却益が出ていますので、6,000万円控除ができれば、税金はゼロとなります。

ところが、書類を見せてもらいますと、土地は共有していますが、建物はご主人だけの名義になっています。

このような場合には、ご主人分の3,000万円だけしか控除することができません。

居住用の特例ですので、居住している建物を持っていないと3,000万円控除の特例を使うことができないのです。

したがって、この場合にはご主人のみが3,000万円控除の適用を受けることができます。

ただし、ご主人の売却益が3,000万円に満たない場合は、一緒に住んでいる奥様の土地の売却益から、その満たない金額を控除することができます。

結局、2人合わせて3,000万円が控除できた、ということになりました。残念ながら、残りの譲渡益には20%の税金がかかってしまいました。

そもそも奥様が土地の持分を持っていたのは、婚姻期間が20年を超えた場合に利用できる「おしどり贈与」と言われている 2,000万円まで非課税となる贈与を使ったからでした。

その時に、土地のみを贈与したのですが、知っていれば建物も贈与していたのに、と非常に残念がっていました。

不動産と税金は切っても切れないものです。

不動産という大きな財産を動かすときは、是非、税金の専門家である税理士に相談して欲しいと、改めて思いますね。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

まだまだ寒い日が続いていますが、確定申告が終わる頃には暖かくなってきそうですね。
私どもにとっては季節のひと区切りというような感じもしますね。慌ただしさからノンビリした春の気分に変われるような。

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