実践!相続税対策
相続時精算課税の選択と相続税の申告【実践!相続税対策】第636号
2024.03.20
おはようございます。
税理士の宮田雅世です。
今年から贈与税の改正により、相続時精算課税制度に非課税枠が設けられたことは、ご存じかと思います。
相続時精算課税による年110万円までの贈与は、贈与税の申告も不要ですし、生前贈与加算もないため相続税もかかりません。
これにより、今後、相続時精算課税制度を使った贈与が増えてくると思われます。
今回は、この相続時精算課税制度を適用した贈与が、相続にどのように影響するか見ていきます。
相続税を計算する際には、被相続人の亡くなった時の財産を、その時の時価で評価していきます。
この財産の総額から債務など控除した金額が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告が必要となります。
そして、相続時精算課税制度による贈与を行っていた場合には、この贈与財産も相続財産に含めることとなっています。
この場合の贈与財産の価額は、相続時の時価ではなく、贈与時の価額となります。
ただし、令和6年から相続時精算課税にも非課税枠が設けられたため、年110万円以下の贈与であれば、相続財産にも含める必要がなくなりました。(令和6年以降の贈与に限る)
相続時精算課税制度による贈与をしていた場合には、贈与の日付、財産をもらった人と金額を控えておくとよいかと思います。
相続人がすべて把握しているのであれば問題ないですが、相続人以外の孫などにも、相続時精算課税制度による贈与をしている場合などは、財産から漏れてしまう可能性があります。
そうなると過少申告となり、相続税の追徴や加算税などの問題も発生してきます。
また、相続時精算課税による贈与を一度でも適用した場合には、相続人でなくても、相続税を納める可能性が出てきます。
相続時精算課税は一度選択した場合には、撤回はできません。
年110万円以下の贈与を繰り返し適用していても、あるとき110万円を超えた贈与があった場合には、それは、相続時に精算することになります。
相続税の申告は、評価や計算が複雑なため、税理士に依頼する方がほとんどです。
その場合には、税理士から相続時精算課税制度による贈与の有無については、確認されると思います。
今後は特にそうなっていくのではないでしょうか。
相続時精算課税による、財産の加算もれなどを防ぐためにも、金額にかかわらず、贈与の記録を残しておくことが、申告手続きをスムーズに行っていくために必要かと思います。
《担当:税理士 宮田 雅世》
編集後記
最近は、風が強い日が多いですね。
ベランダや車の掃除をいつやろうかと、花粉シーズンの終わるころを見計らっています。
気温の差も大きいですので、体調管理も整えていきたいと思います。
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