実践!相続税対策
国外転出課税に注意【実践!相続税対策】第640号
2024.04.17
皆様、こんにちは。
税理士の北岡修一です。
国外転出課税という制度が、平成27年7月より施行されています。
これはあまり知られていないので、注意する必要がありますね。相続や贈与にも関連してくるからです。
国外転出課税とは、有価証券等が1億円以上ある方が国外に転出する場合は、そのときに有価証券等の譲渡があったものとして課税する、という制度です。
売ってもいないのに、その時点の含み益に課税するということですね。
これは、有価証券などの譲渡益に課税されない国があるため、それらの国に転出することによって課税を逃れる例が多かったため、取られた措置です。
国外転出とは、国内に住所を有しなくなることです。
また、対象となる有価証券等とは、株式や投資信託、信用取引やデリバティブなども含まれます。
また、自社株など非上場株式も含まれます。
ただ、海外転勤などで一定期間海外に行っていずれは日本に戻ってくるという場合などは、担保を提供することにより、納税猶予を受けることができます。
猶予期間は5年ですが、さらに5年間延長することも可能です。
概ねの内容は上記のとおりですが、この国外転出課税制度は、相続や贈与にもからんできます。
有価証券等を1億円以上所有している方が、国外に住む親族等に、その有価証券等を贈与した場合は、その有価証券等を譲渡したものとして、所得税を課すというものです。
また、有価証券等を1億円以上所有している方が亡くなった場合に、国外に住む相続人がその有価証券等を相続すると、被相続人がそれを譲渡したものとみなして、所得税が課されることになります。
この相続や贈与の方が、この規定があるのを知らずにやってしまうことがあるのでは? と思いますね。
有価証券等は、国外に住む者には贈与しない、相続させないようにした方が、良いかと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
急に暑くなってきましたね。ちょっと前までコートを来てたのが信じられないくらいです。
この急激な変化についていけるよう、体調管理に気をつけておかないといけないですね。
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