実践!相続税対策
土地の無償返還届を出していない場合【実践!相続税対策】第647号
2024.06.05
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
先日もご相談を受けた話ですが、土地を個人が持っており、その土地に法人が建物を建てているケースがありました。
この場合の土地の評価についての問題です。
借地権の慣行のある地域では、個人が法人に権利金の授受を行わずに(無償で)土地を貸した場合、法人に借地権が移転したものとされ、法人は受贈益課税を受けることになります。
それを避けるために、法人は将来土地を無償で返還する旨を、個人と連名で税務署に無償返還届出を提出することが行われます。
これは実務ではよく行われるていることであり、これにより借地権の受贈益課税を回避します。
ところが、この無償返還届が出されていないことが、初めて関与したお客様などで、相続のときにわかることがあります。
この場合、土地の評価はどのようにしたらよいか、という問題になります。
無償返還届が出されていれば、自用地として評価され、地代が支払われていれば、自用地評価額から20%を控除して評価します。
無償返還が出されていない場合は、借地権は法人に移ったものとされ、個人の相続税の評価においては、借地権を控除とした貸宅地(底地)として評価します。
法人の方で、受贈益課税されているかどうかは関係ありません。
遡って受贈益課税がされるかどうかは、状況にもよるでしょうが、法人の申告期限から5年を経過している場合は、いわゆる時効となっており、借地権の認定課税を受けることはありません。
以上のとおり、個人の土地は貸宅地として借地権を控除した低い評価額となります。
ただし、この借地権は法人の純資産に加算されますので、法人の株式評価は高い評価額になります。
被相続人が株式を所有している場合は、土地は低く評価されても、株式は高くなる、ということですね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
昨晩は急にゲリラ豪雨になり、ビックリしました。
ちょっと不安定な天気が続きますが、梅雨入りはまだまだ先で遅くなるようですね。予報では今週は気圧の変化が大きいらしいのでご注意を、ということでしたが、どう注意したらいいのですかね…。
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