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実践!相続税対策

親が老人ホームに入った場合の小規模宅地特例【実践!相続税対策】第652号

親が老人ホームに入った場合の小規模宅地特例【実践!相続税対策】第652号

2024.07.10

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

最近、親が老人ホームに入居していて、その後亡くなった場合に、小規模宅地特例が使えるかどうか、悩ましいケースが何件かありました。

小規模宅地特例は、居住用の宅地について、330m2まで80%評価減ができますので、非常に影響が大きいです。

親が老人ホームに入居した場合でも、次の要件を満たす場合は、元々住んでいた自宅について、小規模宅地特例を適用することができます。

1.被相続人が、亡くなる直前において要介護認定等を受けていたこと
2.被相続人が、一定の老人ホーム等に入居していたこと
3.被相続人が住んでいた建物を、老人ホーム入居後に、事業の用または被相続人、被相続人の生計一親族等以外の者の居住の用に供さないこと

1番目、2番目の要件は、ほぼ問題がありません。
問題になるのは、3番目ですね。

特に、生計一親族等以外の者の居住用の用に供さないこと、というところです。これに引っかかってしまうことがよくあります。

生計一とは、「お財布が一緒」ということであり、同じ収入や財産の中で生計を立てている、ということです。

同居している親族は、基本的に生計一親族となります。

老人ホームに入居した場合、この同居の判断は、老人ホームに入居する直前で判断することになります。

これがなかなか難しい場合があります。

たとえば、親が一人暮らしでは不安だし、介護も必要なので、親の家で寝泊まりしているが、自宅は別にある、というようなケースです。

子としては同居していた、と主張したいところですが、本拠地である自宅は別にあり、家族もそちらに住んでいる、という状況だと、同居していたというのはなかなか難しいかと思います。

また、別なケースとしては、親が老人ホームに入居した後に、生計一親族以外の者が住んだら、小規模宅地特例の適用ができなくなる、ということがあります。

たとえば、就職して働いていた子(被相続人から見たら孫)が、実家に戻ってきて住んだようなケースです。

働いているのですから、生計は別ということになります。

おじいちゃんが老人ホームに入ったので、空いている部屋があるので、孫が帰ってくるなど、よくある話ですね。

それによって、小規模宅地特例が受けられなくなる、というのは、心情的には納得できないところですが…。

また、親が一人暮らしをしていて、老人ホームに入った場合は、家なき子として小規模宅地特例が受けられる可能性があります。

自分や親族が所有する家に住んでいない、賃貸に住んでいる相続人(いわゆる家なき子)が、親が老人ホームに入って空き家になった実家を相続した場合です。

この場合、家なき子の要件を満たして、上記3つの要件を満たしていれば、空き家になった実家について、小規模宅地特例を適用することができます。

ただし、この場合も、実家が空き家になったからと、家なき子だった相続人が実家に移ってしまうと、小規模宅地特例が受けられなくなってしまいます。

上記3番目の要件である、生計一親族等以外の者の、居住の用に供してしまったからです。

家なき子は、老人ホームに入った親とは、恐らく生計は別でしょうから…。

親が老人ホームに入って自宅に住まなくなった場合でも、居住用の小規模宅地特例を受けられる可能性があるのは、大変助かります。

ただ、上記のようなよくあることを知らずに行ってしまうと、特例の適用が受けられなくなってしまう、というのは怖いところですね。

是非、注意していただければと思います。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

暑い日が続きますね。まだ梅雨の時期ではありますが、もう既に夏になった感じです。
長い夏を乗り切れるよう、食事や水分補給には十分注意していかないと、いけないですね。

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