実践!相続税対策
法人に対する遺贈はやらない【実践!相続税対策】第657号
2024.08.21
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
遺言を書く際、基本的には相続人など個人に対して財産を遺贈するのが一般的です。
ただ、相続人などが経営している会社に財産を遺贈したい、ということが稀にあります。
会社に対して財産を遺贈した場合、相続税などはどうなるのでしょうか?
たとえば、不動産を法人に遺贈したとします。
基本的に相続税は個人に対して課税されるものですので、法人は相続税の対象になりません。
この場合は、法人に対して不動産を譲渡したものとみなされ、譲渡所得税が課されます。
とは言っても遺贈した人は亡くなっているわけですから、相続人が亡くなった方の準確定申告において、譲渡所得を申告しなければなりません。
しかも、その不動産は時価で譲渡したものとされますから、値上がりしている不動産などは多額の譲渡所得税が課される可能性があります。
不動産は法人に行ってしまってもらえないのに、税金だけ相続人が払わなければいけないというのは、理不尽な感じがしますね。
ただ、これだけでは済みません。
法人の方は無償で不動産を取得したということで、その不動産の時価に相当する金額の受贈益を計上することになり、それに法人税が課されることになります。
さらに、不動産を遺贈されることにより、株価が上がることになりますので、同族会社の場合には値上がり益に対して、株主にみなし贈与課税が行われる可能性があ
ります。
以上のように、相続人、会社、株主と三者に税金がかかってくることになりますので、法人への遺贈はやめた方がよい、ということになりますね。
また、遺留分侵害の問題が発生する可能性もあります。
相続人には最低限の遺留分がありますから、法人への遺贈の額が大き過ぎると、法人に関係のない相続人から遺留分の侵害額請求が起こる可能性があります。
法人は受贈益に対して税金を取られた上に、その後の期に遺留分侵害額も支払うことになってしまい、損失だけが残ってしまう可能性があります。
このように法人に対する遺贈は、最悪のケースまで行くこともありますから、絶対にやらない方がいいですね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
昨日は主催しているビジネス交流会で、豊洲の方にBBQ納涼会をしに行きました。
前日は、夕方に大雨が降りちょっと心配しましたが、昨日はとてもいい天気でそれ程暑くもなく、海を見ながら気持ちのいい納涼会でした。つい飲み過ぎてしまった感はありますが...。
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