実践!相続税対策
相続時精算課税選択後の期限後申告【実践!相続税対策】第663号
2024.10.02
おはようございます。
税理士の宮田雅世です。
相続時精算課税という贈与制度があることを、ご存じの方は多いかと思います。
今年から110万円の基礎控除が創設されるなど、大きな見直しもありました。
では、この制度はいつから始まったかご存じでしょうか。今から21年前、平成15年1月1日から施行されています。
相続時精算課税制度を適用して贈与を受けた場合、贈与価額が2,500万円までであれば、贈与税はかかりません。
特別控除額2,500万円を超えた場合は、超えた金額に対して一律20%の贈与税がかかります。
ただし、相続があった場合には、その贈与財産は相続財産に加算して相続税を計算することになり、納税した贈与税は控除されることになります。
相続時精算課税、まさに字のとおりですね。
そして、一度この制度を適用した場合には、贈与税の暦年課税(通常の贈与税)には戻れません。
ここまでは、改正後も同じです。
相続時精算課税は、今年から110万円以下の贈与であれば、申告をする必要はありません。
令和5年までは、相続時精算課税を選択すると、その後贈与があった場合には、110万円以下の贈与であっても、贈与税の申告義務がありました。
では、申告義務があるにも関わらず、贈与税の申告をしていなかった場合は、どうなるのでしょうか。
相続時精算課税を選択したのに、その後の贈与について申告をしていない場合には、それがわかった時に申告をしなければなりません。
この期限後申告については、時効はありません。何年経っていたとしても申告をする必要があります。
なお、期限後申告の場合には、特別控除額2,500万円の残額があっても、それを控除することはできません。
特別控除は、期限内に申告することが要件であるためです。
そのため、期限後申告をする場合には、贈与額そのものに20%の贈与税がかかってきます。
また、期限に遅れていますので、延滞税や無申告加算税などのペナルティも発生します。
20年近く前の贈与について、相続時精算課税を選択したかどうか、もう忘れている方もいらっしゃるかもしれません。
過去、相続時精算課税の贈与がなかったか、不動産の贈与、住宅取得資金の贈与とあわせてこの制度を適用していないか、是非、思い出してみてください。
《担当:税理士 宮田 雅世》
編集後記
気が付けばもう10月ですね。
涼しくなったら、家の片づけをしたいと思っているのですが、気温も上がったり下がったりで、なかなか安定しませんね。
寒暖差による体調不良も起こりやすいので、どうぞご自愛ください。
メルマガ【実践!相続税対策】登録はコチラ
⇒ https://www.mag2.com/m/0001306693.html