実践!相続税対策
未分割の建物を取壊して譲渡した場合【実践!相続税対策】第666号
2024.10.23
皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。
先日あったご相談で、次のようなものがありました。
現在自分が1人で住んでいる家は、父の名義になっているが、父は10数年前に亡くなっている。相続登記はしていない。
ただし、土地は自分の名義である。
母もやはり10数年前に亡くなっている。
兄弟は3人いるが、あまり仲が良くなく数年会っていない。
家が古く、また現在の勤務先からは遠いので、この自宅は売りたいと思っている。
ただ、家の名義は父なので、このままでは売れないため、家を取り壊して売却しようと思うが、この場合3,000万円控除は使えるだろうか、ということでした。
自宅を売却した場合の売却益からは、3,000万円を控除できるという特例があります。
ただし、この特例は、売却した人が建物を所有していないと適用を受けることができません。
また、不動産を売却するには、亡くなられた方の名義のままでは売却することができません。
ご相談のケースでは、建物の名義が父親のままですので、上記両方とも満たすことができません。
そこで、家を取り壊してから売却しよう、ということですが、相続登記がされていない建物であっても、取り壊すことはできるようです。
ただ、他の兄弟とトラブルが起こらないよう、同意は得ておいた方が良いでしょう。
家を取り壊せば、土地の名義はご本人とのことですので、土地を売却することができます。
さて、この場合3,000万円控除が使えるかどうかですが、それには売却した方が建物を所有していたかどうか、が問題となります。
ご相談のケースでは相続登記はされていないとのことでしたが、相談者は子であるため法定相続人であり、現状建物は法定相続人で共有しており、持分を持っている状況と言えます。
また、ご相談者1人が住んでいるとのことで、この場合は3,000万円控除の適用を受けることができます。
ただし、取り壊した場合は、次の要件を満たす必要があります。
・取り壊した日から1年以内に土地の売買契約が締結され、居住しなくなった日以後3年が経過する日の年末までに譲渡すること
・取り壊した後、売買契約を締結した日まで、その土地は貸付その他の用に供していないこと
相続登記をしていないと、売却するときや、特例を使うときにスムーズにいかないことがよくあります。
今年4月からは相続登記が義務化されたこともありますので、相続登記は確実に行っておくことが重要ですね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
先週から今週は母校の立教デーでした。土曜日には箱根駅伝の予選で何とトップ通過!翌日の日曜日は年に一度のホームカミングデーに何と過去最高の2万人が参加しました。さらに昨日は新宿渋谷地区の立教会で、これも予想を上回る人数の参加で大いに盛り上がりました。
スポーツの力は本当にすごいものがありますね。
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