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実践!相続税対策

相続時精算課税の選択と相続税の申告義務【実践!相続税対策】第668号

相続時精算課税の選択と相続税の申告義務【実践!相続税対策】第668号

2024.11.06

おはようございます。
税理士の宮田雅世です。

皆様、相続時精算課税という制度はご存じでしょうか?
これは、贈与税の制度の1つです。

相続時精算課税を選択した贈与の場合、贈与時には、2,500万円まで贈与税はかかりませんが、相続時に贈与時の価格を相続財産に加算して、相続税を計算します。

金額の大きな財産を一時に贈与したい場合などに、適した制度ですね。

令和6年1月1日以後の相続時精算課税贈与については、年間110万円の基礎控除があります。

この基礎控除を除いた贈与価格が、累計2,500万円を超えた場合には、2,500万円を超えた部分に対して、税率20%の贈与税が発生します。

たとえば、1回の贈与で2,800万円のマンション1室を贈与した場合をみてみましょう。

2,800万-110万-2,500万=190万円
190万×20%=38万円が、贈与税となります。

そして、この贈与価格2,800万円から贈与税の基礎控除110万円を控除した金額2,690万円は、贈与者に相続が発生した時に、相続財産に加算されます。

この贈与価格を加算した相続財産から債務などを控除した相続税の課税価格が、相続税の基礎控除以下である場合には、相続税の申告義務はございません。

相続税の基礎控除は次の算式により計算します。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

ただし、相続税の申告の必要がない場合でも、相続時精算課税適用財産について、すでに納めた贈与税がある場合には、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。

したがって、上記の例の場合、相続税の基礎控除以下であれば、相続税の申告をすることによって38万円の還付を受けることができます。

相続時精算課税は、その仕組みをよく理解していないと、忘れてしまっている方が多いですね。

この制度を利用するときは、一旦実行して贈与税の申告をすれば終わり、ということではありませんので、十分注意をしておく必要があります。

《担当:税理士 宮田 雅世》

編集後記

令和6年1月1日以降、相続時精算課税による贈与について、110万円の基礎控除が設けられました。
110万円以下の贈与であれば、申告する必要はありませんが、初めて相続時精算課税を適用する場合には、相続時精算課税選択届出書の提出が必要ですので、ご注意ください。

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