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実践!相続税対策

生計一親族の居住用の宅地【実践!相続税対策】第669号

生計一親族の居住用の宅地【実践!相続税対策】第669号

2024.11.13

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

相続税の計算においては、居住用の小規模宅地特例を使うことができれば、土地の評価は330m2まで80%評価減をすることができます。

この対象となる宅地は、亡くなられた方が居住していた家屋(自宅)の敷地が対象となります。

亡くなられた方が住んでいた自宅を、誰が相続するかでこの特例が適用できるかどうかが、決まってきます。

実はもう1つ、亡くなられた方が住んでいなかった宅地でも、この小規模宅地特例の対象となる宅地があります。

それは、亡くなられた方と生計一の親族が住んでいた宅地です。

典型的なのは、子が実家と離れた場所の学校に通うため、親の所有する家やマンションに住んでいて、親は学費や生活費などを仕送りしているような場合です。

このようなケースで親が亡くなった場合は、子の住んでいる宅地も居住用の小規模宅地特例の対象になります。

ただ、この生計一というのは、なかなか該当するのは難しいですね。

生計一とは、お財布を一緒にしている、ということです。
一緒に住んでいなくてもお財布が一緒であれば、生計一になります。

国税庁のホームページには、「生計を一にする」とは、
次のように書いてあります。

日常の生活の資を共にすることをいいます。

会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、

1 生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、
2 日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

なかなか難しいというのは、たとえば、父親が所有する土地に両親が住んでいる母屋があって、その同じ土地に長男家族が住む家屋があるような場合です。

両親は収入が年金くらいしかないため、長男はいくらかの支援をしているような場合、両親と長男は生計一と言えるか、ということです。

生計一と認められれば、土地全部が小規模宅地特例の対象となりますので、相続税は大きく減ることになります。

ただし、このケースですと生計一と認められるのは、なかなか難しいかと思います。

長男がいくらかの支援をしているといっても、それでお財布を一緒にしているとまでは言えないでしょう。

両親も年金や過去からの貯蓄等がメインで生活をしているのではないでしょうか。これでお父様に不動産賃貸収入などがあればなおさらです。

生計一と認められるのは難しいですが、様々なケースがあると思いますので、生計一親族が住んでいる家屋の自宅も、小規模宅地特例の対象になる可能性がある、ということは頭に入れておいても良いかと思います。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

11月も中旬になり、今年も残すところ1か月半となってきました。
今年は生前贈与の加算期間が3年から7年になったり、相続時精算課税にも110万円の基礎控除ができたり、贈与においては結構大きな改正がありました。

相続税対策などをする場合は、やはり暦年単位で考える必要がありますので、今年中にやっておいた方が良いことがあれば、残された1か月半で考えて実行に移しておきたいですね。

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