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実践!相続税対策

複数の人から贈与を受ける場合【実践!相続税対策】第671号

複数の人から贈与を受ける場合【実践!相続税対策】第671号

2024.11.27

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

2024年から相続時精算課税にも110万円の基礎控除ができました。

これからの相続税対策においては、この相続時精算課税をいかに使うかも、ポイントになってきます。

相続時精算課税は、60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子や孫に贈与した場合に、選択することができます。

年齢は贈与する年の1月1日現在で判定しますので、ご注意ください。

この相続時精算課税を選択した場合は、その贈与者・受贈者間での贈与については、2,500万円まで贈与税は課されません。

贈与額が累計で2,500万円を超えた場合には、超えた部分に対して20%の贈与税を支払うことになります。

相続時精算課税を選択した贈与者が亡くなった場合は、相続時精算課税により贈与した財産は、その者の相続財産に加算し、相続税を計算することになります。

支払った贈与税がある場合には、相続税から控除することができます。

正に名前のとおり、相続時に精算する贈与税の課税方式ということができます。

この相続時精算課税に、2024年度の贈与分から110万円の基礎控除が創設されました。

110万円以内の贈与であれば、2,500万円の累計計算に含めず、申告もしなくてよい、相続時に加算しなくてもよい、という非課税枠です。

したがって、この非課税枠を利用して相続税対策をしよう、ということを考える方も多いでしょう。

相続時精算課税は親や祖父母から、ということで複数の方との間で選択することができます。

両親ともに多くの財産を持っているのであれば、父と母と2人からの贈与について、相続時精算課税を選択することもできます。

相続時精算課税は、両親からの贈与についてそれぞれ2,500円の特別控除枠を使うことができます。

さらに、2024年からできた110万円の基礎控除も、2人から使えるのかというと、これはそういうわけにはいきません。

110万円の基礎控除は、暦年課税と同じように、もらう人単位で1人あたり年間110万円となっています。

したがって、両親から共に相続時精算課税による贈与を受けた場合は、110万円の基礎控除額は、贈与額によってそれぞれに按分することになります。

2,500万円はそれぞれ独立して控除できるけれども、110万円の基礎控除は、それぞれから控除できるわけではない、ということに注意しなければなりませんね。

では、父から相続時精算課税で贈与を受け、母からは通常の暦年課税で贈与を受けた場合は、どうなのでしょうか?

これは制度が違いますので、それぞれから110万円を控除することができます。

そうなると、両親とも財産を多く持っていて相続税対策をしようという場合は、どちらかが相続時精算課税、もう一方は暦年課税にしておいた方がよい、ということも言えます。

ただし、贈与は相続税対策のためだけにするとは限りませんので、贈与の目的によってよく考えていくことが大事ですね。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

一昨日は一番の飛行機で出張のため遅刻してはいけないと緊張感を持って早起きして出かけましたが、気温は4度だったのですね。後で気づきました。
そんなに寒さも感じなかったですが、やはり気の持ちようなんだなと改めて感じますね。

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