実践!相続税対策
空き家の3,000万円特別控除と相続登記【実践!相続税対策】第674号
2024.12.18
皆様、こんにちは。
税理士の北岡修一です。
最近、空き家の3,000万円特別控除について、下記のようなご相談がありました。
空き家の3,000万円特別控除とは、亡くなられた方が住んでいた自宅不動産で、相続後空き家になっているものを、亡くなってから3年を経過する日の年末までに売却した場合に、一定の要件を満たすことにより譲渡益から3,000万円を控除できる特例です。
ご相談は、お母様が亡くなられた相続人姉妹の方で、お母様が1人で住まわれて自宅を相続した上で、売却したいが、空き家の3,000万円控除は受けられるか、とのことでした。
ただ、その自宅は10数年前に亡くなられたお父様の名義のままだとのことです。
当時は、あまりよく知らなかったため、相続に関しては遺産分割協議や登記、相続税の申告も何もしなかったとのこと。
このような場合には、姉妹2人で遺産分割協議をして、お父様名義の不動産を誰が相続するかを、決めることになります。
お母様を経由せず、姉妹のお2人が相続することもできますし、一旦お母様が相続してから、お2人が相続することもできます。
ただし、その後不動産を売却して空き家の3,000万円特別控除を使うのであれば、お母様の名義にしなければ適用を受けることができません。
被相続人が所有する居住用家屋である必要があるからです。
一旦お母様名義にすれば、空き家の3,000万円特別控除は受けられますが、お母様の相続財産となり、相続税がかかってくる可能性があります。
姉妹お2人とも結婚されていて、マイホームにお住まいとのことで、小規模宅地特例を使う際のいわゆる「家なき子」にも該当しません。
したがって、簡単に試算をすると相続税がかかってくることがわかりました。
一方、お父様から姉妹お2人に自宅を相続すれば、お母様の相続財産にはならないため、財産の額は基礎控除以下になり、相続税はかかりません。
相続税の申告の必要もありません。
ただし、空き家の3,000万円特別控除は、受けることができなくなります。
お母様の相続税を払って、空き家の3,000万円特別控除を受け所得税を減らすか、相続税の申告や納税をなしにして、空き家の3,000万円特別控除は使わないで所得税を支払うか、
どちらが得か、選択することになります。
今回は、お母様のご自宅を2人で相続すれば、空き家の3,000万円特別控除を2人分で6,000万円控除ができるため、こちらの方が得策ではないかと思われます。
相続税の額にもよりますが、相続税を払ってでも一旦お母様が相続した形にした方が良いのでは、という話になりました。
なお、10数年前のお父様の相続については、いずれの場合においても、相続税申告については時効となっており、申告をする必要はありません。
以上、不動産を相続するときは、その後その不動産をどう活用するのか、売却するのか、などその後のことをよく考えて、分割協議をする必要がありますね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
今日は朝からたくさんの来客があり、メルマガを配信するのが遅くなりました。
もう今年仕事をするのは後1週間くらいになりましたので、是非、しっかり予定を入れて今年やるべきことは、何とか終わらせたいですね。
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