実践!事業承継・自社株対策
社員への事業承継【実践!事業承継・自社株対策】第103号
2022.06.09
Q 当社は私が創業して以来40年、それなりの規模にまで成長してきたのですが、親族には後継者がいません。
現在は、ほとんどの株式を私が保有していますが、基本的には社員に継いでいってもらいたいと思っています。
株式の引継ぎについては、できるだけ低い価格で譲っていきたいと思いますが、ある程度の創業者利潤は欲しいと思います。
どのような方法が考えられるでしょうか?
A 親族外の社員には、自社株を配当還元価格で譲渡することができます。
配当還元価格は、無配当あるいは低い配当であれば、旧額面価額程度の金額になりますので、安い価格で社員に譲っていくことができます。
まずは、役員や社員、あるいは社員持株会を作って、配当還元価格で、ある程度の株式を譲っていくことが考えられます。
その上で、MBO(経営陣あるいは社員による株式の承継)という方法があります。
これはまず、役員や社員が株主となり、SPC(特別目的会社)を作ります。すなわち、株式を買い取るための受け皿となる会社です。
そのSPCに、先週お話した投資育成会社やファンドに出資してもらうことも考えられます。
さらにSPCは、創業者の株式を買い取るために、金融機関から借入れを行います。
これらにより集めた資金で、SPCは創業者の株式を買い取ることができます。
買取り後は、SPCと貴社が合併することにより、役員、従業員、投資育成会社、ファンドなどが貴社の株主になります。
SPCが金融機関から借り入れた借入金も、貴社が引き継ぐことになり、返済をしていくことになります。
以上が、MBOの大まかな流れです。
その他にも、MBOを使わず、創業者の株式はできるだけ配当還元価格で役員、社員等に譲っていき、創業者利潤は、役員退職金でもらうということも考えられます。
会社の状況によっては、その他の方法も考えられるかと思います。
是非、専門家にご相談いただければと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
親族が後継者にならない会社は、今後どんどん増えていくように思います。
上記のような社員に引き継いでいく場合もあるし、また、今後はさらにM&Aなども中小企業に益々広がっていくのではと思います。
そのような話が結構増えてきています。
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