実践!事業承継・自社株対策
事業承継税制を適用した場合の相続税【実践!事業承継・自社株対策】第114号
2022.08.25
Q 事業承継税制を適用すると、事業承継税制をしない他の相続人の相続税が高くなる、と聞いたのですが、本当でしょうか?
A 事業承継税制を適用した場合の相続税の計算、納税猶予額の計算については、本メルマガ2021/12/02(第78号)で解説しています。
そちらの記事も、是非ご参照ください。
事業承継税制を適用した場合の相続税の計算方法は、簡単に言うと、次のようになります。
(1)承継する同族会社の株式も含めたすべての相続財産をベースとして相続税を計算します。
他の相続人も、相続するすべての財産を入れます。
事業承継税制を使わなかった場合の、通常の相続税を計算する、ということですね。
(2)その次に、後継者については、承継する同族会社の株式だけで、その他の相続人については、(1)と同じように、すべての相続財産を入れて相続税を計算します。
これにより、後継者は、承継する同族会社の株式にかかる相続税を計算することができます。
この相続税が猶予されるわけです。
最終的に、(1)から(2)を差し引いた金額が、全体の相続税の納付する額となります。
後継者以外の他の相続人については、(1)で計算した相続税額が納付する額となります。
すなわち、事業承継税制の対象となる同族会社の株式も含めた総財産で計算した相続税です。
ご存知のとおり、相続税は累進税率ですから、相続財産額が多くなればなるほど、税率は高くなります。
事業承継税制を適用するくらいですから、その対象となる株式の評価額は相当高額なはずです。
その株式の評価額によって高くなった税率で、他の相続人の相続税も計算されますので、相続税が高くなる、ということはあるでしょう。
ただし、これは事業承継税制を適用しても、適用しなくても変わりありません。
事業承継税制を適用することによって、後継者だけが承継する株式にかかる相続税を猶予されますので、他の相続人の相続税が高くなったように感じてしまうかも知れません。
これは相続税の計算のしくみ上の問題であり、そのしくみをよく説明して理解してもらうしかありません。
事業承継税制を適用することによって、他の相続人の相続税が高くなった、ということでは決してありません。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
本文でも紹介しました本メルマガのバックナンバーですが、下記の弊社サイトに掲載しております。
⇒ https://www.tm-tax.com/mailmag/succession/
よろしければ、是非ご覧ください。
メルマガ【実践!事業承継・自社株対策】登録はコチラ
⇒ https://www.mag2.com/m/0001685356.html