実践!事業承継・自社株対策
業績がよくなってきた会社の株式譲渡【実践!事業承継・自社株対策】第125号
2022.11.10
Q 私の会社は、業績がずっと良くない状況でしたが、やっと軌道にのり始め会社の売上、利益ともに飛躍的に伸び始めています。
銀行の借入金返済もめどが立ち、債務超過の状況も脱した状況にあります。
これでやっと、子どもに会社を任せることができると思っています。
現状、当社の株価はそこまで高くないと思うので、子どもへの株式譲渡は、引退の時か、相続の時でよいかとも思っていますが、いかがでしょうか。
A 引退や相続の際に予想される税金を、ある程度ご認識いただいた上でのご判断であれば、問題ないように思います。
会社の株価が上がっておりますと、ついつい税金に対する漠然な不安で、移転をする場合もあります。
ただ今後、まだ事業に積極的なかかわりを持ちたい場合などは、その経営権を考えると、必ずしも、今、株価が安いということだけで、全株式を移転することが、正解とは言えないこともあります。
とはいえ、業績がよく、株価がどんどん上がり続けることが予想される状況では、むしろ何もしないことにより、将来、お子さんが株式を取得した際に、税金等の支払いが困難になることもあり得ます。
そのため、まずは、会社の現在(前期末ベース)の株価を計算してみてください。
その上で、今期の予想利益により、株価を再度計算してみてください。
簡易的な計算ではありますが、この価格の差が、たとえばお子さんに贈与あるいは譲渡していた場合に、相談者様ではなく、お子さんに帰属することになります。
一方、贈与や譲渡をしていなかった場合は、相談者様の株価が純粋にそれだけ増えることになります。
これが5年続いた場合、10年続いた場合はどうなるでしょうか。
相談者様の主な財産が株式だけでしたら、経営権を確保しながら、たとえば1/3移転するなどを先にしておき、あとはゆっくり考えることができるかもしれません。
ただ、利益の伸び幅が著しい場合、むしろ相続時精算課税などを適用し、すべて譲渡することにより、低い株価で評価を固定することも考えられます。
相談者様の今後の会社との関係、事業承継のお子さんとの関係性や後継者の数、会社の利益の状況など様々な状況により、取り得る手段が変わってきます。
まったく何もしないことはお勧めではなく、とはいえ、付け焼き刃な対策もリスクがあります。
やはり、株式の取扱いは将来に大きな影響がでますので、ある程度の期間をかけてご検討されることをお勧めいたします。
《担当:税理士 青木 智美》
編集後記
山梨県に数年ぶりに旅行にいってきました。
電車の中のほとんどが、外国からこられた旅行客の方でした。
やはり、円安の影響で観光費用が安いことも影響しているのでしょう。
そして、駅員もホテルスタッフも英語が堪能で、関心するばかりでした。
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