実践!事業承継・自社株対策
後継者が若い場合の特例事業承継税制【実践!事業承継・自社株対策】第127号
2022.11.24
Q 当社は事業承継税制を使おうと考えております。
ただ、まだ後継者である長男が大学を卒業して入社したばかりなので、期限ギリギリでの適用を考えています。
計画の提出が1年延期になったのは承知していますが、いつまでに何をすればよいか、注意点を教えてください。
A 贈与税や相続税が100%納税猶予される、特例事業承継税制の期限は、2027年12月31日までとなっております。
この期限までに、後継者に自社株の贈与を行えば、特例事業承継税制の適用を受けることができます。
また、この期限までに特例事業承継税制による贈与を行っておけば、それ以降に相続が発生した場合に、相続税の方の特例事業承継税制に切り替えることができます。
そのためには、ご存知のように特例事業承継計画を都道府県に、2024年3月31日までに提出する必要があります。
その際には、中小企業基本法の中小企業であること、現経営者が代表権を持っていること、あるいは持っていたことが主な要件となります。
その上で、株式の贈与を2027年12月31日までに行えば良いのですが、一点重要なことがあります。
それは、株式の贈与を受ける後継者が贈与のときに役員の就任から3年以上を経過している必要がある、ということです。
逆算すれば、遅くとも2024年12月末までに役員(後継者ですから取締役でしょう)に就任していなければなりません。
これは後2年程度しかありませんので、社内でどのようなタイミングで役員にしていくか、今から十分に考えておかなければいけません。
その上で、贈与するときには、現経営者は代表を降りていなければなりません。その上で、後継者が代表権を持っていなければなりません。
これも社内的、対外的に与える影響は非常に大きいと思いますので、十分準備をする必要があります。
なお、現経営者は、代表権のない取締役会長や、単なる会長を名乗ることは可能です。
後継者が若くて経験がない場合は、社内外への十分な配慮と、綿密なタイムスケジュールが重要かと考えます。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
後継者の年齢が本年4月から18歳以上に下がっていますが、年齢は満たしたとしても、経営者としてどうなのか、というのはなかなか難しいですね。
そういうことをわかった上で、周りの人がいかにサポートしていけるか、というのもこの特例事業承継税制を使うポイントになるのかと思います。
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