実践!事業承継・自社株対策
議決権のない株式【実践!事業承継・自社株対策】第13号
2019.05.17
法人税の同族会社の判定や、非上場株式の相続税評価における同族株主の判定、さらには、事業承継税制の適用要件などにおいて、「議決権」がある株式なのかどうかが、非常に重要になってきます。
同族会社の判定においては、株式の数または金額による判定の他、議決権の数による判定が、平成18年度税制改正で追加されています。
同族株主の判定においては、議決権の割合(30%や50%など)により、同族株主を判定します。
この場合、完全無議決権株式は判定対象から除かれますが、一部議決権が制限されている株式は、含めることになっています。
事業承継税制においては、親族等で50%超の議決権を有していることや、後継者が親族等の中で筆頭株主であること、などが要件になっています。
この場合の議決権も、完全無議決権株式は判定対象から除かれますが、一部議決権が制限されている株式は、やはり含めることになっています。
このように、議決権というのは税法の様々な規定に登場してきますので、議決権があるかないかは、しっかり押さえておく必要があります。
原則としては、株式1株につき、1個の議決権を有しています。では、議決権のない株式とはどのような株式でしょうか?
まず、1つは自己株式です。
会社が自ら保有している株式の議決権を行使できると、取締役が自己保身のために活用するなど、不適切な運用がされる可能性があるからです。
2つめは、相互保有株式です。
たとえば、A社がB社の議決権の25%以上を保有している場合において、B社がA社の株式を保有していても、B社はA社の株主総会において議決権を行使することができません。
日産とルノーの関係みたいなものですね。
そして3つめは、議決権制限種類株式です。
会社は定款に定めることにより、種類株式を発行することができます。たとえば、次のように定めます。
1.「○○に関する議決権を有しない」
2.「○○に関してのみ議決権を有する」
3.「議決権を有しない」
1.2.が一部議決権制限株式であり、3.が完全無議決権株式です。
冒頭に書いたとおり、一部議決権制限株式か、完全無議決権株式かで、税務の取り扱いは違ってきます。
議決権がある株式、議決権制限株式は、社員持株制度や事業承継など、様々な場面で活用することができますが、その税務上における取り扱いには、十分注意しておく必要がありますね。
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