実践!事業承継・自社株対策
税制改正と価格の値上がりのある株式【実践!事業承継・自社株対策】第130号
2022.12.15
Q 私は、今年、株式を子どもに贈与しました。
元々業績が悪かったのですが、子どもと一緒に事業を始めてからは軌道に乗り始め、株価も高くなりつつあることもあり、この期に代表権と株式をともに譲ることにしました。
ただ、最近インターネットで、令和5年の税制改正で、生前贈与について、相続財産の足し戻す期間が3年だったものが、7年になると知りました。
私も高齢であることから、7年以内にもし私に万一のことがあれば、結局、相続財産に足し戻しが行われて相続税は高くなってしまいますか。
A 確かに、令和5年の税制改正について、そのような記事があるようですが、まだ、改正が決まったわけではありません。
まずは、12月中旬ごろに税制改正大綱がとりまとめられたあと、翌年、国会を通過する予定です。
ちなみに、令和4年改正では3月に成立し、4月から施行となりました。
このため、今の段階では、まだ変わる可能性があります。
とはいえ、こちらは以前よりずっと議論のあったところですので、7年に延長になる可能性は十分にあります。
さらに、防衛費などの財源を増税によるとの検討がされており、所得税は除外されても、贈与税や相続税はどうなのか、まだまだ今後の展開を見守る必要があります。
さて、とはいえ、確かにこの内容、あるいはこれに近い内容で税制改正が行われ、足し戻し期間内に相続発生した場合は、相続財産に贈与した財産が足し戻されることになります。
ただし、この足し戻しは、財産贈与時の価格でされることになります。
よって、貴社のように今後の見通しが明るい会社にとっては、贈与した時の価格で、足し戻す価格を固定することができることから、今後のお子さんの頑張りが、相続税に跳ね返ってくるということはありません。
万一相続が起き、足し戻しがあったとしても、価格が固定されるという点、また、無事に事業承継もできたことも考慮すると、良い株式移転が行われたと言えるのではないでしょうか。
《担当:税理士 青木 智美》
編集後記
今年も12月になりました。
コロナが始まって3年が経とうとしています。
近年を振り返ると、悪い意味で、今まで起こるとは思わなかったことが、次々と起こっているような気がします。
来年はどんな年になるのでしょうか。
税制改正の事前情報を見ているだけでも、心配が付きません。
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