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事業用の小規模宅地特例【実践!事業承継・自社株対策】第140号

事業用の小規模宅地特例【実践!事業承継・自社株対策】第140号

2023.03.02

Q 私は個人で飲食店を経営していますが、昨年より長男が一緒に働いてくれており、将来的には長男にお店を継いでいく予定です。
飲食店の土地建物は、私が所有しており、当然、この土地建物は長男に相続していきます。

事業用の土地は、小規模宅地特例で大きな評価減があるとのことですが、これはいつ事業を承継するかによって変わってきますか?

A 事業用の土地を相続して、事業を継続していく場合には、土地の相続税評価額を400m2まで80%評価減することができます。これを特定事業用の小規模宅地特例といいます。

この評価減は、自宅の土地を相続した場合の小規模宅地特例=330m2まで80%評価減と、併用することができますので、非常に大きな節税効果があります。

すなわち、自宅と事業用の土地を合わせれば、730m2まで80%も評価減することができる、20%部分しか相続税の対象にならない、ということです。

したがって、ご質問の状況であれば、是非、特定事業用の小規模宅地特例を使いたいところです。

ただし、事業承継をする時期によって、取り扱いが異なりますので、注意しておく必要があります。

ご質問者自身が、生涯この事業を継続し、相続が起こってからご長男が継いだ場合には、ご長男が相続税の申告期限まで、その土地を所有して事業を継続していれば、この小規模宅地特例の適用を受けることができます。

ご質問者が生前に、飲食事業をご長男に継いだ場合は、ご質問者と長男が、生計一であれば、長男が相続するお店の土地は、特定事業用の小規模宅地特例の適用を受けることができます。

すなわち、生前に継いだ場合には、生計一であるという条件が付きます。
この点に注意しておかなければ、いけないですね。

また、その際お店の家賃を長男からもらわないことです。
家賃をもらってしまうと、それは貸付事業となりますから、アパートやマンションと同じ貸付事業用の小規模宅地特例の適用を受けることになります。

貸付事業用の小規模宅地特例は、200m2まで50%評価減と、特定事業用よりも評価減が少なくなってしまいます。

また、居住用の小規模宅地特例を受ける場合は、併用することができず、評価減面積が制限されてしまいます。

以上、いつ事業を承継するかについては、十分注意しておく必要がありますね。

是非、実行するときは、専門家である税理士に詳細に相談した方が良いかと思います。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

3月に入って大分暖かくなってきました。もう春は間近という感じです。気持ちも明るくなってきますね。

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