実践!事業承継・自社株対策
法人で事業をしている場合の小規模宅地特例【実践!事業承継・自社株対策】第141号
2023.03.09
Q 先週、飲食業を個人事業として行っている場合の小規模宅地特例の質問をしました。生前に事業を承継する場合は、生計一でないと特例の適用は受けられない、ということでした。
この事業を法人化した場合は、どうなるのでしょうか?
A 個人事業を法人化した場合でも、特定同族会社事業用宅地の小規模宅地特例があります。
これは、個人で事業を行っている場合の、特定事業用の小規模宅地特例と同様に、土地の相続税評価額を400m2まで80%評価減することができます。
個人と法人の事業用宅地がある場合は、合わせて400m2までとなります。
法人で事業を行っている場合に、この小規模宅地特例の適用を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。
1.相続開始の直前に、被相続人とその親族等で、株式の50%超を保有する法人の、事業の用に供している土地であること
ただし、その法人が不動産賃貸業等である場合は、対象外です。この場合は、貸付け事業用の小規模宅地特例の対象となります。
2.その土地を相続または遺贈により取得した親族が、相続税の申告期限において役員であること
相続開始前から役員であれば、そのまま役員でいればよいし、役員でなかった場合は、相続税の申告期限までに役員に就任すればよい、ということになります。
3.相続税の申告期限まで、その土地を保有し、かつ、その法人が事業を継続していること
4.その法人が、被相続人から相当の対価で、土地または建物を賃借していること
同族会社だからといって、無償あるいは低額の賃料で貸していると適用は受けられない、ということです。
これは重要なポイントです。
以上、法人化して事業を行っている場合は、被相続人が経営していても、相続人が経営してしても構わないし、生計一である必要もありません。
また、法人の株式についても、親族で50%超を持っていればよいので、被相続人が株式を持っていなくても構いません。
後継者が設立した会社が、被相続人の土地または建物を賃貸して事業をしている場合もOK、ということになります。ただし、賃料の支払いは必須です。
法人が事業を行っている場合は、個人事業よりも要件を満たすことが容易ではないかと思います。
個人事業を生前に事業承継した場合は、生計一でないと適用を受けられない点がネックになるのであれば、法人化を検討してはいかがでしょうか。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
今日からいよいよWBCですね。WBC直前の強化試合から非常に盛り上がってきているので、楽しみですね!
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