実践!事業承継・自社株対策
所在不明株主の株式の買取りについて【実践!事業承継・自社株対策】第142号
2023.03.17
Q 当社は非上場会社ですが、元社員が所有している株式について、当人の所在がわからなくなり、苦慮しています。
株主総会の招集通知なども届かず、配当金もこの数年間支払えず保留となっています。
このような場合に、この株式を買取ることなどは、できないのでしょうか?
A 非上場株式の場合は、裁判所の許可を受けて、所在不明の株主が所有する株式を買取ることができます。
ただし、そのためには長期間、厳格な手続きを経る必要があります。
裁判所の許可を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
1.会社が株主に対してする通知または催告が、5年以上継続して到達しない場合
2.継続して5年間剰余金の配当を受領していないこと
3.株式売却について異議を述べることができる旨の公告を3か月以上したこと
4.売却価格(買取価格)が、相当であること 他
なお、裁判所に申し立てをするためには、取締役全員の同意が必要になります。
また、5年以上継続して通知が到達していないことを証明するためには、6年分の返戻封筒を疎明資料として、裁判所に提出する必要があります。
その他、長期間に渡っての諸々の資料が必要になりますので、簡単に許可を受けられるものではありません。
なお、経営承継円滑化法に基づく都道府県知事の認定を受けた中小企業については、上記1、2の5年の期間を1年とすることができる特例を受けることができます。
早急に解決したい場合には、この特例の適用を検討してはいかがでしょうか?
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
本日の質問のようなことがないように、従業員に株式を持ってもらう場合は、従業員持株会を作り、退職時には確実に買い取ることができるようにしておくことが大事ですね。
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