実践!事業承継・自社株対策
株式交付は2023年9月末まで?【実践!事業承継・自社株対策】第152号
2023.06.09
Q 子会社にするための株式交付(株式譲渡)を実施しようと検討していますが、2023年度税制改正により課税繰り延べが一部できなくなると聞いていますが、どのような場合に、いつからできなくなるのでしょうか?
A 株式交付は、たとえばA社がB社を子会社にするために、B社の株主から株式の譲渡を受け、その対価として、A社の株式等を交付することをいいます。
B社の株主は、本来であれば株式譲渡により、譲渡益課税が行われますが、一定条件を満たすことにより、譲渡損益の課税が繰り延べられます。
その条件とは、主に次のようなものです。
・株式交付は、子会社化をするために行う。したがって、子会社化できない場合は、株式交付は中止となる。
・既に子会社である場合は、株式交付を行うことはできない。
・子会社の株主は、交付対価の80%以上が親会社株式である場合は、税制適格となり、株式の譲渡損益に対する課税が繰り延べられる。
グループの組織再編を行うには、非常に使い勝手の良い制度かと思います。
この譲渡損益の繰り延べ措置が、2023年10月1日より、一部適用できなくなります。
それは、株式交付後に、親会社(上記事例でいえばA社)が同族会社になる場合です。
この場合には、親会社に譲渡したB社株式の譲渡益に対して課税がされることになります。
したがって、同族会社になるような場合は、2023年9月末までに、株式交付を行う必要があります。
同族会社にならない場合は、課税の繰り延べは継続されることになります。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
同族会社の場合、株式交付はできなくなりますが、完全子会社にする場合は、株式交換などの制度もありますから、こちらを活用していけば良いかと思います。
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