実践!事業承継・自社株対策
役員借入金を整理する際の注意点【実践!事業承継・自社株対策】第154号
2023.06.22
Q 私は、現在経営している会社の創業社長です。
会社の資金繰りが厳しかった時期に、会社に対して資金を貸し付けたことがあり、会社の帳簿には役員借入金が計上されています。
会社は債務超過で、役員借入金を一括返済できる状況ではありません。
会社に対する貸付金を残しておくと相続の際に不利になる可能性があると聞きましたが、どのような影響があるのでしょうか。
なお、株主構成は、私が70%、一人息子が30%です。
A 会社に対する貸付金の相続税評価は、債務超過でも、原則として額面で行われます。
自社株であれば評価がゼロとなるような場合でも、貸付金は額面評価のため、相続税負担が重くなるのと、納税資金の観点からも問題が生じる可能性があります。
貸付金を解消する方法の一つとして、デット・エクイティ・スワップ(DES)があります。
DESとは、貸付金を会社に現物出資し、株式に転換する方法です。
DESを行うことにより、相続財産は貸付金から自社株に転換され、評価上のメリットを受けられる可能性があります。
一方、注意すべき点としては、会社側の増加資本金等の額は、転換された貸付金の額面ではなく時価であるため、回収可能性の評価次第では、会社に債務免除益が生じます。
繰越欠損金の範囲内であれば、法人税課税は生じませんので、DESを行う際は債務免除益と繰越欠損金のバランスを意識する必要があります。
また、純資産が増加することに伴い、株主間で贈与があったとみなされる可能性がある点にも、注意が必要です。
具体的には、DES実行により債務超過状態が解消されたときは、上昇した株価分だけ、ご質問者から息子様に対する贈与があったものとして、息子様に贈与税の納税
義務が生じる可能性があります。
DES前後で債務超過状態に変わりなければ、自社株評価はゼロのままのため、このような論点は生じません。
したがって、DESにより債務超過状態が解消するのか否か、また株価がどのくらい上がるのか、事前に検討することが重要となります。
《担当:税理士 藤井 裕生》
編集後記
私は料理が全くできないため、普段は妻が用意してくれた夕飯を有難くいただくのですが、諸事情により一月くらい自分で夕飯を済ませなければならなくなりました。
基本は外食で済ませるつもりですが、独身時代何を食べていたんだという位、選択肢の少なさに愕然としています。
人生で一番通っている飲食店は、間違いなくイニシャルMの牛丼屋さんですが、足を向けて寝られない位、本当にお世話になっています。
(いい年なので栄養バランスには気を付けたいです)
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