実践!事業承継・自社株対策
特例事業承継税制の要件【実践!事業承継・自社株対策】第16号
2019.06.21
令和9年12月31日までの贈与、相続について、納税が猶予される「特例事業承継税制」について、前号では一般の事業承継税制から変更になった点などを、お話しました。
今回は、特例事業承継税制の適用を受けるための要件について、お話します。
要件は、大きく分けると「会社の要件」、「後継者の要件」、「先代経営者の要件」の3つがあります。
まずは、「会社の要件」です。主なものをあげます。
1.中小企業者であること
2.上場会社等に該当しないこと
3.性風俗営業会社に該当しないこと
4.資産保有型会社、資産運用型会社に該当しないこと
5.総収入金額が0を超えていること(売上があること)
6.常時使用従業員数が1人以上いること
などです。
中小企業者とは、中小企業基本法の中小企業者で、業種によって、資本金または従業員数の要件を満たす企業です。
大きな区分でいうと、次のようになります。
・製造業・建設業 資本金3億円以下 従業員数300人以下
・ソフトウエア業 資本金3億円以下 従業員数300人以下
・卸売業 資本金1億円以下 従業員数100人以下
・小売業 資本金5,000万円以下 従業員数50人以下
・旅館業 資本金5,000万円以下 従業員数200人以下
・サービス業 資本金5,000万円以下 従業員数100人以下
資本金か従業員数の要件、いずれかを満たせば該当します。
業種は日本産業分類で、正しく判定しないといけません。
まずは、事業承継税制の入口ですので、自社が該当するのかどうか、しっかり確認してください。
次に「後継者の要件」です。
1.贈与または相続時に、後継者とその親族で議決権の過半数を有していること
2.同族関係者の中で最も多くの議決権を有していること
3.贈与時(または相続時から5カ月を経過する日)に、代表者であること
4.贈与時に20歳以上で、かつ3年以上役員であること
5.特例承継計画に記載された後継者であること
贈与の場合には、その時に3年以上役員であることが必要であり、計画的に事業承継、株式の贈与をしていくことが大事です。
最後に「先代経営者の要件」です。
1.贈与または相続直前まで、親族で過半数の議決権を有し、親族の中で後継者を除いて筆頭株主であること
2.会社の代表者であったこと
3.贈与の場合は、贈与時までに代表者を退任すること(有給役員であることは可)
4.一定数以上の株式を贈与すること
5.特例承継計画に記載された先代経営者であること
上記の一定数以上の株式とは、後継者が1人の場合は、次のとおりです。
・贈与者と後継者の保有議決権数が、2/3以上である場合
→ 後継者の議決権数が、2/3以上になるように贈与
・贈与者と後継者の保有議決権数が、2/3未満である場合
→ 先代経営者が保有する株式のすべてを贈与
以上の3つの区分の要件を満たした場合に、特例事業承継税制の適用を受けることができます。
上記は概要ですので、問題ありそうな項目があれば、詳細に確認することが重要です。
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