実践!事業承継・自社株対策
資産管理会社は事業承継税制の対象外【実践!事業承継・自社株対策】第17号
2019.06.29
前回お話した、事業承継税制の対象となる会社の要件の中に、資産保有型会社、資産運用型会社に該当しないこと、という項目がありました。
この2種類の会社を、併せて資産管理会社と呼びます。
事業承継税制の対象にならない資産管理会社とは、どのような会社なのでしょうか。
まず、資産保有型会社とは、帳簿上の総資産に占める特定資産の割合が、70%以上の会社をいいます。
特定資産とは、次のものをいいます。
1.国債、地方債、上場株式など金融商品取引法に規定する有価証券および特定子会社の株式・持分(資産管理子会社に該当しないものは除く)
2.自社で使用していない不動産(遊休地や賃貸不動産など)
3.ゴルフ場やリゾートクラブなどの会員権
4.絵画、彫刻、工芸品などの動産、貴金属、宝石等
5.現預金、後継者や同族関係者への貸付金、未収金
これらの資産の合計が、総資産の70%以上になってしまうと、事業承継税制の対象にならなくなってしまいます。
賃貸不動産を法人化した会社や、その持株会社などは、事業承継税制の対象にならない可能性が高くなってきます。
これらの会社は、事業承継税制の趣旨には合わないということで、その対象からはずされています。
また、資産を法人化することによって、相続税対策を助長するようなことも、避ける目的があると思われます。
次に、資産運用型会社とは、会社の総収入金額のうち特定資産の運用収入の占める割合が、75%以上である会社をいいます。
なお、総収入金額や運用収入とは、売上だけでなく、営業外損益や特別損益に入るものも含まれます。
その際には、譲渡損益の純額ではなく、収入金額で計算することになります。
この2種類の資産管理会社に該当してしまうと、事業承継税制の対象になりません。
ただし、単に資産を保有し運用しているだけでなく、実態を伴った事業を行っている場合には、事業承継税制の対象になります。
資産管理会社であっても、事業承継税制の対象になるのは、次の要件をすべて満たす場合です。
・事務所や店舗等の固定施設を使用または賃借している
・常勤の従業員数(一定の親族を除く)が5名以上いる
・3年以上継続して事業活動を行っている
なお、事業活動とは、対価を得て、商品の販売や資産の貸付け、役務の提供などを行っていることをいいます。
現状、資産管理会社に該当してしまっている会社が、事業承継税制の利用を検討する場合は、上記の3つの要件を満たすことができないか、検討してみることです。
まだまだ、時間はありますので、事業再編を含めて考えてみてはいかがでしょうか?
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